半側空間無視の看護計画では、片側の空間や自分の身体へ注意を向けにくいことで、食事・更衣・移動にどのような困難が起こるかを確認します。本人が気付かないまま物へぶつかることもあるため、声かけだけでなく、環境と必要な介助を具体的に整えます。
主に脳卒中後の成人入院患者を対象とする学習用例です。左側に現れることが多いものの、側や程度は個別に確認します。片側が見えにくい視野障害とは異なり、両方が重なる場合もあります。医師、作業療法士、理学療法士、視機能を評価する専門職等と協働します
看護計画名:片側の空間・身体への注意の向けにくさに伴う生活動作の困難と転倒・接触事故のリスク
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・次の食事時に、必要な配置や手がかり、介助を受け、食物の位置を確認して摂取できる
・次の移乗時に、合意した介助と手がかりを用い、手足や周囲の障害物を確認して移動できる
・当日から翌日までに、本人に合う位置・方法で呼び出し手段を使用できる
・次の更衣・清潔時に、必要な声かけや提示を受け、気付きにくい側を含む動作へ参加できる
長期目標
・転棟・退院時までに、個別に決めた環境と介助を用いて、必要な食事・更衣等を行うことができる
・療養先への移行時までに、本人に合う手がかりと補助具を使い、安全な移動方法で生活できる
・退院時までに、理解の状態に応じた説明を受け、難しい場面で援助を受ける方法を確認できる
・退院時までに、本人の希望に沿った活動と必要な支援を、家族等・専門職と相談できる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・発症・悪化の時期、注意を向けにくい側、普段の生活と現在の動作の違い
・意識、注意の持続、疲労、視力・視野・眼球運動、聴力等の評価と使用する補助具
・食器の片側の残食、食具の探索、食事中の姿勢・口腔残留と嚥下の評価
・更衣・整容で片側を見落とす様子、身体・衣服・用具の位置への気付き
・座位・立位の安定性、麻痺・感覚低下と手足の位置、移乗時の介助量
・車椅子や歩行時の接触、曲がり角、出入口、障害物への反応
・机上評価と実際の生活動作の違い、声かけや目印による変化
・本人の困り感と認識、不安・苛立ち、説明を受けた際の反応
・ナースコールや生活用品を見つけて使えるか、取りに行く際の危険
・専門職の評価・訓練方針、役立った手がかりと疲労・体調による変動
T-P:ケア・実施項目
・新たな麻痺、言葉・意識の変化や急な悪化は、いつもの無視症状とせず医療評価を優先する
・食事・更衣・移動等の場面で、標準化した評価と行動観察の結果を専門職と共有する
・呼び出し等の安全に不可欠な物は、本人が確実に気付き操作できる位置へ配置して試す
・訓練の目的で気付きにくい側へ物を置く場合は、専門職の方針と見守り条件を確認する
・短い声かけ、指差し、目印等から本人が利用できる手がかりを選び、一度に増やしすぎない
・食事では食器・座位・視線等を整え、探索の援助と必要な摂取介助を組み合わせる
・移乗前に車椅子・ベッド・手足と障害物の位置を確認し、必要な人数・補助具で援助する
・通路と出入口の障害物を減らし、移動時は本人の反応に合う側と位置で見守る
・更衣や洗面は動作を分け、気付きにくい側の確認を適切な手がかりで支える
・訓練・日常動作で疲労や混乱が増したら中断・休息し、難易度と環境を見直す
E-P:教育・生活支援
・注意を向けにくい状態であり、本人の不注意や意欲不足だけの問題ではないと説明する
・視野障害、麻痺、感覚障害等の併存により援助が異なることを共有する
・本人が使える呼び出し方法と、動く前に必要な援助を受ける方法を実演する
・安全確保の配置と、専門職の訓練で注意を向ける課題の違いを家族等へ説明する
・短い手がかりの出し方と、見つけられないときに責めず支援を変える方法を練習する
・食事・更衣・移動で現在必要な介助を、次の支援者へ具体的に伝える
・自宅の段差、出入口、家具、熱い物等の危険を専門職と確認する
・外出や運転の再開は個別の評価・指示に従い、病棟の一場面で安全を決めないと共有する
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:片側を見落とす理由を分け、生活場面での危険を捉える
半側空間無視では、目から情報が入っても、片側の空間や身体へ注意を向けたり、その情報を行動に使ったりしにくくなります。視野の一部が欠ける半盲等の視野障害とは仕組みが異なりますが、同時に起こることがあります。見えていないように見える行動だけで原因を決めず、視機能、注意、麻痺・感覚等の評価を合わせます[1,3]。
例えば食器の左側に食べ物が残っている場合も、左側へ気付きにくい、手を伸ばせない、食具が使いにくい、嚥下で疲れた等の理由が考えられます。残食の位置と、食器を見つけた時の反応、声かけ後の動作を記録します。半側空間無視という病名だけで、栄養や飲み込みの評価を省きません。
机の上で線や絵を探せることと、廊下で障害物を避けられることは同じではありません。例えば静かな場所で目印を見つけられても、人が通る出入口では注意がそれる場合があります。移動、更衣、食事等の場面を変えて観察し、何をどの程度手伝えば安全かを専門職と共有します[1,2]。
本人が困りごとを自覚しにくい場合もありますが、否定した返答だけで協力がないと評価しません。疲労、痛み、環境の混雑等による変化も見ます。新しい麻痺・言語障害・反応低下、急な悪化があれば、訓練の成果や本人の注意不足として扱わず、医療評価へつなげます。
T-P:安全のための補いと、注意を向ける訓練を使い分ける
今すぐ安全に過ごすために環境や介助で補うことと、専門職が計画する訓練は、目的と条件を分けます。例えばナースコールを気付きにくい側へ置き、見つける練習のつもりで一人にすると、苦痛を伝えられない危険があります。呼び出しは確実に使える配置を優先し、探索課題は専門職と範囲・見守りを決めて行います[2,3]。
視覚探索は、視線や頭を動かしながら周囲を確かめる方法です。例えば食器の端へ本人が認識できる目印を付け、一緒に全体を確認する等の手がかりを試します。ただし目印を見た回数だけでよくなったとせず、必要な物を見つけ、食事や更衣へつながったかをみます。眼帯やプリズム等を看護師だけで追加せず、適応と方法を専門職に確認します[1,2]。
移乗では、動作を始める前に足、手、車椅子、ベッドの位置を確認します。例えば麻痺した足が車椅子のフットサポートから落ちていても、本人が気付かない場合があります。本人が確認できる合図を用いながら必要な介助を行い、注意を向ける課題のために、支えのない立位や無理な振り向きを求めません。
全ての声かけや物を一律に片側へ集める方法は、その人の状態と目的に合うとは限りません。見つけられず不安が増す場合は、まず本人が気付きやすい位置から関わり、落ち着ける条件を整えます。疲れて誤りが増えたら休み、配置、声かけ、課題の量を見直します。変化は、実際の動作と必要介助を比較して評価します[3]。
E-P:本人を責めず、次の場所でも再現できる支援にする
半側空間無視の看護計画は、「左を見てください」と繰り返す指導だけでは成り立ちません。本人がその言葉を理解し、どちらへどう注意を向けるかを使える必要があります。説明は短い動作や実物と結び付け、できないときは本人を責めず、合図や介助を変えます。
例えば家族等へは、「食事の前に食器全体を一緒に確かめる」「移る前に足の位置を確認する」と、担当者が実際に行った支援を示します。家族にも無理のない範囲で試してもらい、本人の反応と困りごとを聞きます。気付きにくい側から関わる訓練と、緊急の用件を確実に伝える会話の位置は、同じにする必要がありません[1,3]。
退院先では、家具の位置、狭い出入口、段差、熱い飲み物等が生活上の危険になります。病棟と似た配置にできるかだけでなく、本人がどの動作を行い、誰が支援できるかを作業療法士等と確認します。配置を変えた際は伝え、実際に使えたかを再評価します[2]。
目印を見つけられたことだけで、外出や運転が安全になったとは判断できません。自宅や地域での活動は専門職の評価と個別の指示を確認します。転棟・退院では、気付きにくい側、使える手がかり、必要な見守り、疲れたときの変化を具体的に引き継ぎ、本人が望む活動へ継続して参加できるよう支えます[1,2]。
評価・見直し
・同じ生活場面で見落とす位置・接触・必要な介助量を比較する
・手がかりや配置を変えた後、食事・更衣・移動の実行と本人の負担を確認する
・呼び出し等の安全に不可欠な手段を、本人が必要時に使えたか評価する
・机上課題だけでなく実際の動作で、訓練と代償方法の効果を分けて確認する
・疲労・混乱・新たな神経症状がある場合は計画を中断又は見直し、必要な評価へつなげる
・家族等・次の支援者が必要な配置と介助を再現できるか確認する
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・失語症の看護計画|理解と表出の観察・意思を伝える支援
言葉の理解や表出に合わせた支援も必要な場面で、意思疎通の工夫を確認できます。
・脳出血の看護計画|意識の観察と急性期のケア
脳出血の急性期の観察と生活援助を併せて学ぶときに参照してください。
参考資料
[1]NICE「Stroke rehabilitation in adults(NG236)」(2023年公表)
1.2・1.5.3〜1.5.4・1.8・1.16:視覚性注意、機能課題での評価と介入、視機能と生活支援
確認日:2026年10月17日
[2]Heart & Stroke「Canadian Stroke Best Practice Recommendations:8. Visual and Visual-Perceptual Impairment」(2025年版)
視覚・視知覚の評価、視覚探索、日常生活の代償方法、介入の限界
確認日:2026年10月17日
[3]Wrightington, Wigan and Leigh Teaching Hospitals NHS Foundation Trust「Visual Inattention/Neglect Following a Stroke」第8版(2022年11月レビュー)
p2〜3:視野障害との区別、食事・読字・生活上の現れ方、重症度に応じた環境調整
確認日:2026年10月17日
この記事はAIを用いて編集しています。

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