ネフローゼ症候群の看護計画は、尿へ大量のタンパク質が漏れる状態と浮腫を捉え、腎機能・循環、感染や血栓の危険に注意しながら治療と生活を支える計画です。見た目のむくみや体重だけで、水分状態や回復を判断しません。
ここでは成人のネフローゼ症候群を対象とする学習用例です。原因となる腎疾患や糖尿病等の背景、腎機能、使用薬で内容を選びます。小児の診療とは分け、一律の安静・飲水量・高タンパク食、全員への抗凝固薬や免疫抑制薬を設定しません。
看護計画名:尿蛋白と浮腫に伴う全身の変化を捉え、原因別治療と栄養・生活を支える看護
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・浮腫・息苦しさ・尿や体調の変化を支援を受けて伝えることができる
・病状に合う体液と治療の評価を受け、苦痛の緩和を相談できる
・必要な栄養と個別の塩分・水分の目安を確認できる
・薬の目的と気になる副作用を相談できる
長期目標
・症状と検査に合う服薬・食事・活動を支援を受けて継続できる
・尿蛋白・腎機能等の確認と再診を続ける方法を利用できる
・感染・血栓や急変を疑う変化に気づき早く援助を求めることができる
・再発や治療の負担を相談し、自分の生活に合う目標へ見直すことができる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・原因疾患と診断・腎生検等の評価、腎機能と今回の治療方針
・浮腫の部位と程度、体重・必要時腹囲、皮膚の張りと損傷
・呼吸・SpO2、血圧・脈拍・意識、口渇・ふらつきと末梢循環
・尿量・尿の性状、尿蛋白とアルブミン・腎機能・電解質等の推移
・摂取・入出量、食欲・食べにくさ、体重以外の筋力と栄養状態
・発熱・悪寒、咳・腹痛・排尿症状、治療中の感染を疑う変化
・新しい片脚の腫れ・痛み、胸痛・呼吸困難・失神等の血栓を疑う変化
・利尿薬・血圧薬・免疫抑制薬等の実施、血圧低下・血糖変化・感染など薬に合う観察
・抗凝固療法がある場合の出血、処置や腎生検前後の個別条件
・活動と休息・睡眠・不安、服薬管理と通院・支援者
T-P:ケア・実施項目
・呼吸循環・意識の急な悪化や肺塞栓を疑う変化では直ちに応援を呼び急変対応へつなぐ
・感染を疑う変化や尿量低下・急な浮腫増加を速やかに報告する
・体重・入出量と症状を同じ条件で比べ、体液不足と過剰の両方を評価する
・利尿薬や補液等は指示に沿い、血圧・尿・腎機能と電解質の反応を確認する
・原因別の治療薬を照合し、副作用・必要な検査と感染予防を担当チームで共有する
・抗凝固療法は血栓と出血の個別評価と処方に従い、全員へ独自に開始しない
・塩分・水分・タンパク質と必要なエネルギーを栄養士等と調整する
・浮腫のある皮膚を保護し、苦痛に合う体位・清潔・移動介助を行う
・活動は循環・症状と指示に合わせ、一律の長期臥床にせず段階的に調整する
・退院前に薬・体重や必要な尿検査、再診と異常時の連絡を確認する
E-P:教育・生活支援
・尿蛋白と血液中のタンパク質・むくみの関係を短い言葉で説明する
・同条件の体重や指示された尿検査を記録し、自己判断で診断や薬の増減をしない方法を確認する
・タンパク質が漏れるからと高タンパク食・サプリを追加せず、栄養量を相談する
・ステロイド等は自己中断せず、飲めない・感染や副作用が疑われる場合の連絡を確認する
・手洗い・口腔ケアと感染時の相談、予防接種は治療薬と状態に合わせ相談する
・新しい片脚の痛み・腫れは直ちに相談し、急な胸痛・呼吸困難・失神は119番と伝える
・発熱・悪寒・強い腹痛、尿量低下やむくみ増加を直ちに連絡し、夜間の窓口を確認する
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:むくみと血管内の循環、尿と検査を合わせる
腎臓のフィルターが傷むと、通常は血液中に保たれるタンパク質が尿へ漏れます。アルブミンなどが減ることや体が塩分・水分をためる働きが重なり、むくみが出ます。例えば脚が腫れて体重が増えていても、腎臓の状態や循環を一緒にみないと、必要な治療は選べません[1、2]。
体全体に水がたまっていても、血管内の循環が不足する場合があります。例えば利尿薬の後にむくみが残る一方、ふらつき・尿量低下や血圧低下が出たら、さらに水を出せばよいとは考えません。体重と入出量、腎機能・電解質を合わせ、体液調整の再評価を求めます[1、3]。
血栓や感染も注意する合併症です。例えば普段の左右対称の浮腫と違い、片脚だけ新しく痛んで腫れたら速やかに報告します。急な息苦しさや胸痛は肺塞栓などの緊急評価へつなげます。免疫に関わるタンパク質の喪失や治療薬の影響もあるため、発熱・咳・腹痛等の変化を見逃さないようにします[1、3]。
尿の泡立ちや体重は本人が気づく手掛かりですが、それだけで治癒や再発を確定しません。例えばむくみが減っても尿蛋白や腎機能の確認は続きます。原因疾患によって治療の目標と経過が違うため、その人の検査の推移と生活上の変化を結び付けて共有します[1〜3]。
T-P:原因別治療を支え、体液と栄養の両方を守る
ネフローゼ症候群の看護計画は、同じ病名なら全員同じ薬という形では作りません。原因となる腎疾患やほかの病気で治療が異なります。例えばステロイド等を使う人では、実際の薬に合わせて感染・血糖・睡眠などの負担を確認し、薬の効果と副作用の両方を担当者へ伝えます[1、3]。
むくみに対する利尿薬や塩分調整は、呼吸・循環や腎機能を確かめて進めます。例えば体重が減ったから成功とせず、食事や尿、ふらつきも比べます。アルブミンの補充や水分量も全員に一律ではありません。指示された治療の前後にどう変わったかを記録し、必要な見直しへつなげます[1、3]。
尿からタンパク質が出るため大量に食べれば補える、という計画は避けます。高タンパク食は腎臓への負担となることがあり、逆に制限ばかりでも栄養不足になります。例えば食欲が落ちた人では必要なエネルギーとタンパク質を栄養士と確認し、むくみで増えた体重だけを栄養の根拠にしません[1、2]。
浮腫の皮膚は張りや違和感で傷つきやすいため、衣服・体位・清潔を調整します。活動も全員を寝たきりにせず、循環と苦痛、治療指示に合う範囲を選びます。例えば少しの移動で息苦しい人は無理に歩かせず評価し、安定すれば本人の反応をみながらできる動作へ戻します[1、3]。
E-P:検査と生活の記録を、治療調整の相談へつなぐ
体重や尿の記録は、守れたかを採点するためではなく変化に気づく道具です。例えば測定が難しい日があれば理由も記し、日内差と本当の増加を分けて相談します。自分で尿蛋白を測る指示がある場合も、試験紙の結果だけで薬を変更せず、決めた報告条件を確認します[1、3]。
治療が長くなると、薬の負担や感染への不安で自己中断したくなることがあります。例えば眠れない、食欲が変わるなどは隠さず相談し、自己判断でステロイドを急にやめない方法を確認します。処方薬と市販薬・サプリを一緒に伝え、予防接種も使用薬と免疫の条件で相談します[1、3]。
食事は本人の暮らしに落とし込みます。例えば仕事中に外食が多い人なら、禁止だけでなく汁や調味料、量をどう調整するかを栄養士と考えます。タンパク質を補うサプリを独自に足さず、必要な栄養と塩分・水分の個別目安を保てる工夫を選びます[1〜3]。
急な胸痛・息苦しさ・失神や反応低下は119番へ連絡します。片脚の新しい痛みや腫れ、発熱・悪寒、強い腹痛、尿の減少等は直ちに相談する準備をします。例えば普段のむくみとの違いが説明しにくければ、いつからどこが変わったかを支援者と伝えます。本人が血栓や感染を診断する必要はありません[1、3]。
評価・見直し
・体液過剰と循環不足を合わせ、尿・腎機能・症状から治療反応を評価したか
・感染・血栓や急変の変化へ遅れず対応したか
・原因別薬剤の効果と負担、必要な栄養を両立する支援ができたか
・本人が記録・服薬・再診と異常時連絡を実行できる形で確認したか
関連記事
・慢性腎臓病の看護計画|保存期CKDの観察と食事・服薬の支援
参考資料
[1]NIDDK:Nephrotic Syndrome in Adults(2020年10月レビュー)
成人の病態、浮腫、血栓/感染、原因別治療と食事
確認日:2026年10月19日
[2]National Kidney Foundation:Nephrotic Syndrome(掲載年不明)
尿蛋白と浮腫・診断・治療、高タンパク食を避ける説明
確認日:2026年10月19日
[3]KDIGO:2021 Glomerular Diseases Guideline—Key Takeaways for Clinicians(2021年)
一般原則:浮腫/蛋白尿/血圧、血栓と感染、生活支援
確認日:2026年10月19日

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