慢性腎臓病の看護計画|保存期CKDの観察と食事・服薬の支援

慢性腎臓病の看護計画では、腎機能と検査の推移、体調、生活背景を結びつけ、患者が治療を生活に取り入れられるよう支援します。対象は透析導入前の成人CKD患者です。透析中、小児、妊娠中、急性腎障害への計画とは区別し、病期や合併症、本人の希望に合わせて個別化します。本記事は資料の推奨を看護に応用した学習用の計画例で、学会が定めた標準計画ではありません。

看護計画名:慢性腎臓病に伴う体調変化と療養生活の自己管理の困難

看護目標

期限は例です。入院・外来の状況、理解力と支援体制に応じて設定し、本人だけで難しい場合は家族等や専門職の支援を含めます。

短期目標

・次回の面談までに、食事や薬、仕事など療養上の困りごとを一つ以上伝えることができる

・説明後から1週間以内に、自分に必要な血圧や体重等の記録を、支援を受けながら実施できる

・退院または次回受診までに、処方薬の使い方と市販薬を購入する際の相談先を確認できる

・退院または次回受診までに、息苦しさや尿量の変化など、連絡が必要な体調変化と連絡先を説明できる

長期目標

・1か月後の評価時に、自分に設定された食事・服薬の方法を生活の中で続けることができる

・1〜3か月の経過で、食欲や体力の低下を放置せず、必要な栄養相談や活動の調整を受けることができる

・次回以降の定期受診時に、記録と質問を用いて体調や治療の困りごとを医療者と共有できる

・療養場所の移行時までに、利用できる支援者や窓口を確認し、希望する生活に向けた相談を続けることができる

看護計画

以下は全項目を一律に実施するものではありません。病期、治療内容、受診間隔に応じて、観察頻度と具体的な援助を選びます。

O-P:観察・評価項目

・CKDの原疾患、病期、医師から説明された治療方針、糖尿病・高血圧・心不全などの併存症

・eGFR、クレアチニン、尿蛋白・尿アルブミンの前回からの変化と、検査時の体調

・指示された検査におけるカリウム、ナトリウム、ヘモグロビンなどの推移と、薬剤変更の時期

・血圧、脈拍、呼吸状態、体重、浮腫、口渇、尿量・排尿回数の普段との差

・食欲、摂取量、意図しない体重減少、筋力や歩行の変化、買い物・調理の状況

・処方薬、市販の鎮痛薬・かぜ薬、漢方薬、サプリメントの使用状況と、飲み忘れや副作用への不安

・息切れ、疲れやすさ、睡眠、活動範囲、立ちくらみ、転倒の危険、日常生活で優先したいこと

・病気への受け止め、検査結果の理解、記録の負担、家計・仕事・通院手段、支援者の有無

T-P:ケア・実施項目

・検査値と症状の変化を時系列で整理し、普段と異なる変化は主治医へ報告して評価につなげる

・強い呼吸困難、胸痛、意識の変化など急変が疑われる場合は、記録や生活指導より急変対応を優先する

・血圧・体重は本人が継続できる測定条件と頻度を決め、手帳や紙など使いやすい記録方法を選ぶ

・食事指示の内容を医師・管理栄養士と確認し、実際の食事写真や購入食品を用いて実行方法を相談する

・たんぱく質・カリウム・水分の制限を一律に追加せず、検査値、栄養状態、尿量、心不全の有無と個別の指示を確認する

・食事量や体力が低下している場合は、制限の強化より先に原因と栄養管理の再評価を依頼する

・薬剤師と服薬内容、腎機能に応じた用量確認、飲み忘れへの対処、体調不良時の相談手順を整理する

・活動の可否と強度を確認し、息切れや立ちくらみ等に配慮しながら、休息を挟んだ生活動作や運動を支援する

・本人の同意を得て支援者と役割を相談し、必要時は外来看護、栄養相談、訪問看護、福祉窓口へつなぐ

E-P:教育・説明・生活支援

・自覚症状だけで腎機能の経過を判断せず、予定された検査・受診を継続する意味を説明する

・減塩は調味料や加工食品の選び方から相談し、食事量そのものを減らさない工夫を考える

・水分は自己判断で大量に飲んだり厳しく減らしたりせず、本人に必要な量と調整条件を確認する

・カリウム制限の要否と対象食品を個別に確認し、減塩用調味料にもカリウムを含む製品があることを説明する

・NSAIDsを含む市販の鎮痛薬等を自己判断で追加せず、薬剤師や主治医に相談し、お薬手帳を共有するよう説明する

・嘔吐・下痢・発熱や食事が取れない場合の連絡先と、薬の調整が必要か相談する手順を確認する

・急なむくみ、体重の変化、尿の減少等の連絡基準を主治医と決め、強い呼吸困難や胸痛、意識の異常では救急要請が必要であることを伝える

・説明した内容を本人の言葉で確かめ、実行が難しい部分を一緒に調整する

O-P・T-P・E-Pの背景と根拠

O-P:腎機能の検査と、体調・暮らしの変化を合わせる

慢性腎臓病では、腎臓の働きの低下や障害が続きます。初期には自覚しにくい場合があるため、症状がないことだけで安定とは判断しません。eGFRなど腎臓が血液をこす力の目安や、尿のたんぱく等の経過を確認し、血圧や糖尿病の管理と合わせて診療へつなげます[1]。

食欲、吐き気、浮腫、尿、息切れ、疲れ、体重を見て、前回からの変化と時期を具体化します。例えば体重が変わらなくても、食事や筋力が減り、むくみが増えていれば、そのまま安定とは捉えません。検査一つで体調を説明せず、生活に現れた変化を添えて共有します[1,2]。

薬は処方薬だけでなく、市販のかぜ薬、鎮痛薬、サプリメントを確認します。腎機能が低下すると薬剤の使い方が変わる場合があり、脱水時に危険が増す薬もあります。ふらつきや食欲低下等が薬の変更と重なっていないかを確認し、看護師だけで増減を判断しません[3]。

記録や食事管理ができているかを評価するときは、視力、手の動き、食品の入手、費用、仕事や家事の負担も聴きます。例えば体重測定が難しい人に記録だけを求めず、安全な測り方や支援者を相談します。本人の知識と、生活で実行できる条件を分けて確認します。

T-P:必要な栄養と水分を、病期や体力に合わせる

食事療法は、腎機能、検査、体重、併存疾患等により異なります。たんぱく質を一律に減らすと、必要な栄養が不足する場合があります。特に体力や筋力が低下した人では目標の調整が必要なため、管理栄養士と十分なエネルギーを確保できる食事を相談します[2,5]。

例えば「肉をやめたので食べられる物がない」という訴えは、制限を守れたと評価せず、実際の摂取を確認するきっかけです。カリウムも全員へ同じ制限を追加せず、検査や薬剤等に応じて調整します。食事が楽しみや生活の支えであることも含め、継続できる方法を探します[2]。

水分は慢性腎臓病という病名だけで、厳しく減らしたり多量に飲ませたりしません。腎臓を守る目的で、通常より意図的に飲水を増やすことは勧められていません。尿量、浮腫、暑さ、下痢・嘔吐、心不全等を踏まえ、個別の指示と見直す条件を共有します[4]。

活動は一律の安静にせず、心肺機能と身体の耐えられる範囲に合わせます。例えば買い物を続けたい人には距離と休憩場所を考え、活動後の息切れや回復を確認します。検査や薬剤の変更、摂取低下があれば、これまでの食事・水分・運動の計画を再確認します[5]。

E-P:薬や体調不良時の説明を、相談できる行動に変える

腎機能の経過は自覚症状だけではわからないことがあるため、予定された検査・受診を続ける意味を伝えます。数値が悪くなったかどうかだけでなく、どの項目を比べ、次に何を確認するのかを医師へ質問できるよう支援します。本人が知りたいことを先に尋ねます[1]。

市販薬には、NSAIDsと呼ばれる種類の鎮痛・解熱成分が含まれる場合があります。腎臓への影響に注意が必要なので、薬を買う前に病気と使用薬を伝えて相談するよう説明します。処方薬を全員が自己中止する指導にはせず、お薬手帳と個別の指示を活用します[3]。

例えば発熱や嘔吐で食べられないときは、血圧や摂取等の記録を持ってどこへ相談するかを確認します。急なむくみや尿の減少は決めた基準で連絡し、強い息苦しさ、胸痛、意識異常では救急要請が必要です。事前に主治医と薬の調整や連絡の手順を決めておきます[3]。

減塩や食品選びは、調理できる人と購入する人の役割まで相談します。減塩用調味料にもカリウムを含む製品があることを伝え、適否を確認します。多職種の説明が食い違う場合は調整し、家族等の協力も本人の同意と希望に沿って組み立て、自己管理を一人で背負わせないようにします[2,4]。

評価・見直し

・本人が困りごとを表出できたか、説明後に次の行動と相談先を確認できたかを評価する

・検査の推移と、体重・浮腫・呼吸状態・尿の変化、食欲・活動の経過を対応させて記録する

・記録や食事の工夫が負担になっている場合は、項目数や方法、支援者の役割を調整する

・食事量や体力の低下、新たな症状、薬剤変更がある場合は、食事・水分・活動の指示を再確認する

・病期の進行や将来の治療への不安がある場合は、本人の希望を聴き、主治医や専門チームへの相談を支援する

関連記事

関連する観察や支援の考え方は以下の記事も参照できます。栄養・水分・運動の具体的な内容はCKDの個別指示を優先してください。

・栄養状態の改善・維持に向けた看護計画:摂取量や生活背景の評価に

・体液量の不足に対する看護計画:脱水が疑われる場面の観察に

・在宅での糖尿病の看護計画:糖尿病を併存する患者の支援に

参考資料

確認日:2026年10月17日。以下の資料を踏まえた看護計画の例です。実際の援助は患者の状態、診療指示、施設の手順に合わせて調整します。

・[1]米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(NIDDK)『Managing Chronic Kidney Disease』(2016年10月最終レビュー、検査の経過確認・医療チームとの協働):検査の経過と医療チームでの管理 参考資料を開く

・[2]NIDDK『Healthy Eating for Adults with Chronic Kidney Disease』(2025年1月最終レビュー、成人CKDの食事の個別化):成人CKDにおける栄養・水分の個別調整 参考資料を開く

・[3]NIDDK『Keeping Kidneys Safe: Smart Choices about Medicines』(2018年6月最終レビュー、NSAIDs・市販薬・体調不良時の薬剤相談):NSAIDs、市販薬、脱水・体調不良時の薬剤相談 参考資料を開く

・[4]日本腎臓学会編『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』(2023年、CQ6-7・6-11):CQ6-7・6-11:飲水増加と多職種教育 参考資料を開く

・[5]KDIGO『2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease』(2024年、3.2.2・3.3.1):3.2.2・3.3.1:身体活動とフレイル等に応じた栄養 参考資料を開く

この記事はAIを用いて編集しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました