手術部位感染のリスクに対する看護計画では、手術前の危険性と準備を確かめ、術後の創部と全身状態を比較しながら、清潔な創管理と早めの相談を支えます。感染予防の行動を行ったことだけでなく、本人が創部の変化に気づき、必要な援助を受けられるかを評価します。
対象は成人の手術創を中心とした予防と早期発見を支える学習用の計画例です。手術部位感染は皮膚だけでなく深い組織や臓器、留置された人工物にも関わります。すでに感染が疑われる、創が開いている、全身状態が悪い場合は、通常の予防計画にとどめず、診療と専門的な創管理へつなげます。
看護計画名:手術創の感染リスクと変化を早期に捉え、清潔な創管理と退院後の継続支援を整える看護
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・状態と術式に合う術前の清潔・予防処置を、必要な説明と援助を受けて行うことができる
・創部の痛み・赤み・漏れや全身の不調を、可能な方法で早く伝えることができる
・創の状態に合う被覆とケアを受け、皮膚や生活への負担を相談できる
・手指衛生と創部に直接触れない扱い方を、必要な介助とともに確認できる
長期目標
・創部と全身状態に合う観察・処置を継続して受け、回復に応じた生活を整えることができる
・本人または支援者が、その時点で必要な創部管理を指示に沿って行うことができる
・薬・抜糸等の予定と受診・連絡先を確認し、必要な支援を利用して療養できる
・退院後に創部や体調の変化があれば、予定の再診まで待たず医療機関へ相談できる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・術式・部位・手術日と創の閉じ方、人工物やドレーンの有無、既存感染と診療方針
・糖尿病等の併存疾患、喫煙、皮膚・栄養の状態、治療薬とアレルギー
・術前清潔・必要な除毛や除菌、予防的抗菌薬の指示と実施状況
・創部の赤み・熱感・腫れ・痛みの位置と範囲、直前までの状態との差
・創の開き、滲出液の量・色・性状・におい、被覆材の漏れ・湿潤・ずれ
・体温・脈拍・呼吸・血圧・意識、寒気や全身のつらさなど変化
・血糖、血算・炎症反応、培養等の指示された結果と採取時刻・治療経過
・創周囲のかぶれ・水疱・皮膚のふやけ、粘着材や清潔操作への反応
・摂取・栄養、痛みや睡眠、清潔・移動・更衣に伴う負担
・ドレーンの挿入部・固定・排液と、個別の管理指示
・本人の見える範囲・手の動き・理解と創部管理を行える環境
・本人や支援者の不安、必要物品・費用・通院と夜間を含む連絡方法
T-P:ケア・実施項目
・感染を疑う創部変化は速やかに診療へつなぎ、全身悪化・反応低下・呼吸循環異常は直ちに応援を求める
・術前の清潔と皮膚の状態を整え、除毛・除菌等は必要性と個別手順を確認する
・予防的抗菌薬は適応・薬剤・時期の指示とアレルギーを確認し、実施や変更を申し送る
・被覆材交換の前後に手指衛生を行い、創や被覆材の内側に不用意に触れない手順を守る
・創の閉鎖・滲出液・周囲皮膚に合う被覆材と交換条件を確認し、濡れ・漏れ・剝がれを放置しない
・洗浄やシャワーは術式・創の状態・被覆材と個別指示に合わせて支援する
・創部の変化を同じ部位・条件で比較し、必要な写真は施設手順と同意に沿って記録する
・培養等は適応と指示に沿って支援し、感染疑いを独自の消毒・外用薬追加だけで済ませない
・血糖・栄養・保温等は本人の状態と治療計画に合わせ、必要時は医師・管理栄養士等へ相談する
・疼痛と皮膚トラブルを整え、創部の牽引・こすれを避けて生活動作を援助する
・創が開いた・滲出が増えた場合は予防だけの計画を見直し、専門的な創管理へつなぐ
・退院前に物品・手順・受診や連絡先を整え、本人が困る部分を支援者や地域の看護へつなぐ
E-P:教育・生活支援
・手術創に関わる感染は退院後にも起こり得ることと、今回の観察の目的を説明する
・術前に自分でかみそりを当てず、必要な除毛は医療者へ確認するよう伝える
・創部のケア前後に手を清潔にし、家族等も創や被覆材・管に不用意に触れない方法を共有する
・交換・洗浄・シャワー・抜糸等は今回の個別指示で確認し、日数だけで決めないよう伝える
・創部の赤み・痛みの増加、膿のような液・開き、発熱や不調は次回受診を待たず直ちに相談するよう説明する
・息苦しさ・反応低下や急な強い全身悪化は、院内では即時呼出し、自宅では119番へつなぐよう共有する
・残った抗菌薬や市販の消毒薬・軟膏を独自に追加せず、薬と皮膚の困りごとを相談する方法を伝える
・創部の変化と困りごとを伝える練習を行い、夜間連絡・通院・必要物品を支援者も含めて確認する
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:創だけを見ず、術前の条件と全身の変化を結び付ける
手術では皮膚に切開を加えるため、創のある部分に病原体が入り、感染が起こることがあります。手術部位感染は表面の皮膚に限らず、深い組織や臓器、人工関節などの人工物にも関係します。したがって外から見える創が小さいことだけで危険が少ないとは判断せず、何の手術を受け、どの場所を観察する必要があるかを確認します[1、2]。
赤み、熱感、腫れ、痛み、濁った液や発熱は感染を疑う手掛かりですが、観察だけで診断を確定しません。例えば同じ赤みでも、創の周囲に広がる場合と、粘着材の形に沿ってかゆみが出る場合では、伝える情報が違います。部位・範囲・経過と伴う症状を残し、感染と皮膚の刺激などを医療チームで評価できるようにします[1、2]。
創部は、単に「異常なし」とせず前回との差を比較します。例えば退院前は乾いていた創から液が出始め、痛みも増えてきたなら、その変化と時刻を伝えます。逆に小さな汚れがあるだけで直ちに感染と決めつけ、被覆を何度も外すような対応は避けます。創の閉じ方と被覆材、想定される経過を確認して、観察と交換の条件をそろえます[2、4]。
糖尿病や喫煙、皮膚の状態などは、術前の評価と準備を考える情報です。本人を責めるためのリスク一覧にせず、例えば食事が十分に取れない人には何が妨げているかを聞き、栄養の相談へつなぎます。薬や清潔に使う製品へのアレルギーも重要で、過去の反応を確認してチームへ共有します。全員に同じ予防処置を追加するという意味ではありません[1、3]。
創部の観察中にも、呼吸・血圧・反応など全身の変化を見落とさないことが必要です。例えば発熱に加えて急に返事が鈍くなり、呼吸や循環も悪化したら、創を詳しく記録し終わるのを待たず応援と緊急評価を求めます。感染以外の原因もあり得るため、創の問題だけに限定せず、症状の推移と治療情報を一緒に報告します[5]。
T-P:清潔を守る操作と、状態に合う創管理を一つずつ確実にする
予防は術後に消毒することだけではありません。術前の清潔、皮膚の傷の確認、必要な薬や処置を適切に実施することから始まります。例えば本人が手術に備えてかみそりで毛をそろえようとしたら、皮膚を傷つけるおそれを説明し、必要性を担当者へ確認します。除菌や予防的抗菌薬の選択も、術式や本人の条件と施設の方針によって異なります[1、3]。
被覆材を交換するときは、手を清潔にするだけでなく、清潔を保つ面へ不用意に触れない流れを整えます。例えば古い被覆材を外した手で、新しい被覆材の内側や創に触れれば、手順の途中で清潔が崩れます。必要な物品を先に用意し、手指衛生と交換手順を施設の方法で行います。手順を急ぐことより、清潔な部分を区別できる配置と動きを保つことが大切です[3、4]。
被覆材は、創の状態と出てくる液、周囲皮膚に合わせて使います。例えば濡れたまま浮いている被覆材や、液が縁まで漏れた被覆を「交換日ではないから」と放置しません。一方で乾いた創を確認目的だけで繰り返しこすったり、強い消毒や抗菌軟膏を全例に追加したりしません。縫って閉じた創と開いて治療している創では管理が異なるため、変化した場合は計画自体を見直します[3、4]。
洗浄やシャワーも、術式と創の閉鎖状態、被覆材の扱いで条件が変わります。例えば退院後に入浴したい人には、濡らせるか、交換が必要か、誰が手伝うかを一緒に確かめます。全員に同じ術後時刻から入浴を許可したり、全員へ長い間の洗浄禁止を求めたりしません。指示が分からない場合は、創管理を担当する医療者へ確認してから援助します[3、4]。
感染が疑われた場合は、予防処置を増やすだけで済ませず、診察や必要な検体・治療へつなげます。抗菌薬だけでなく別の処置が必要になることもあり、本人が残薬や市販品を選ぶ場面ではありません[1、2]。痛み、栄養、血糖や皮膚の負担も同時に整えますが、感染予防のために全員へインスリンや同じ補助食品を使うような計画にはせず、処方と個別の評価に沿って相談します[3]。
E-P:退院後の生活で、創を守る方法と連絡の判断を使えるようにする
手術部位感染のリスクに対する看護計画では、退院時に創が落ち着いていても説明を終わりにしません。退院後に感染の徴候が出ることもあるため、本人が見られる部位か、どの変化を連絡するかを確認します。例えば背中や腹部の見えにくい部分なら、本人の希望を聞いて鏡や支援者の助けを検討します。全員へ創の確認を一人で任せる計画にはしません[1、2]。
創部のケアは、禁止事項だけでは実行しにくくなります。「触らないで」だけでなく、手を洗う、必要な物品を広げる、被覆材のどこを持つか、困ったら中断して連絡するという行動を示します。家族等が手伝う場合にも同じ方法を共有します。例えば眼鏡をかけても細かい操作が難しい人には、物品の選び方や訪問看護等を相談し、失敗を本人の努力不足と捉えません[3、4]。
赤み・痛みが増える、膿のような液、創の開き、発熱や全身の不調があれば、予約日まで様子を見続けず直ちに手術を受けた医療機関等へ相談します[1、2]。反応低下、強い息苦しさや急な循環の悪化では、院内で直ちに応援を呼び、自宅なら119番へつなぎます[5]。本人が感染かどうかを確定してから連絡する必要はありません。
薬や外用剤は今回の指示へそろえます。例えば以前もらった抗菌薬が家にあっても、創が赤いからと再使用せず相談します。塗り薬や洗浄製品も、別の人や別の手術で使ったものをそのまま選びません。かぶれや痛みがあれば我慢して使い続けるのではなく、製品名と使った時刻、症状を伝え、創と周囲皮膚に合う方法へ調整してもらいます[3、4]。
相談の方法は「何かあったら病院へ」だけでなく、昼・夜それぞれの連絡先と受診の手段まで残します。写真を送る場合も、施設が指定した安全な方法を確認し、画像の返事を待って急な悪化への相談を遅らせません。本人または支援者に手順と連絡条件を話してもらい、難しいところを直します。生活環境や創の状態が変わったら、必要物品と援助量も見直します[2、4]。
評価・見直し
・術前の条件と術式に応じた予防策が確認され、実施内容と変更が共有されているか
・創部の範囲・痛み・滲出と全身状態を比較し、疑わしい変化を診療へつなげられたか
・創と周囲皮膚に合う清潔操作・被覆・洗浄を行い、濡れや皮膚トラブルへ対応できたか
・感染疑いや創の開きがある場合、予防だけの計画から適切な治療・専門的創管理へ更新したか
・本人または支援者が創管理の手順と連絡条件を使えるか、実演と言葉で確認したか
・退院後の物品・介助・通院と夜間連絡が整い、状態の変化に応じて支援を見直せるか
関連記事
・感染予防・感染コントロールの看護計画|観察・感染対策と患者への説明
・皮膚統合性障害のリスクに対する看護計画|皮膚の観察と予防ケア
参考資料
[1]米国疾病予防管理センター(CDC):Surgical Site Infection Basics(2024年4月11日掲載)
手術部位感染の範囲・徴候、皮膚・糖尿病/喫煙/除毛、手指衛生と早期相談
確認日:2026年10月18日
[2]Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust:Surgical wounds and preventing infections(2025年5月レビュー)
手術創の感染徴候、深部への影響、予防と退院後の直ちの相談
確認日:2026年10月18日
[3]NICE:Surgical site infections: prevention and treatment(NG125)(2019年公表・2020年8月19日更新)
術前清潔と処置、予防的抗菌薬、清潔な被覆交換、閉鎖/開放創の管理と専門評価
確認日:2026年10月18日
[4]Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust:Caring for your surgical wound at home(2025年9月レビュー)
個別に説明を受けた退院後の創管理、手指衛生・被覆材の扱いと濡れ/漏れ/皮膚反応への対応
確認日:2026年10月18日
[5]NICE:Acutely ill adults in hospital: recognising and responding to deterioration(CG50)(2007年公表)
成人入院患者の全身悪化を複数の指標と臨床的懸念から捉え緊急評価につなぐ方針
確認日:2026年10月18日
この記事はAIを用いて編集しています。

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