大腿骨近位部骨折の看護計画|術後の疼痛管理と離床・退院支援

大腿骨近位部骨折の看護計画では、痛みと全身状態を確認し、手術後の動作条件に合わせて生活を取り戻す支援を組み立てます。骨折部位や固定・置換などの治療方法により、荷重や動作の注意点は異なります[1、2]。ここでは主に高齢の成人が手術を受けた後の入院期間を想定します。術式、医師の指示、リハビリテーション職の評価と本人の希望に合わせた学習用の計画例です。

看護計画名:大腿骨近位部骨折の術後疼痛と移動能力低下に伴う生活動作の困難

看護目標

期限は例です。受傷前の生活、認知機能、併存疾患、治療方針に合わせて到達点を決めます。

短期目標

・当日から翌日までに、言葉や表情・しぐさを用いて、痛みや楽な姿勢をスタッフに伝えることができる

・次の清潔・排泄援助時に、鎮痛や姿勢の調整を受け、許容できる苦痛の範囲でケアを受けることができる

・離床が許可された次の機会に、決められた介助と補助具を用い、安全に姿勢を変えることができる

・翌日までに、必要な見守りや環境調整を受け、休息と食事の時間を確保できる

長期目標

・退院または転院時までに、個別に設定した介助量と移動方法で、必要な場所へ移動できる

・療養場所の移行時までに、痛みへの対処と補助具を利用し、更衣・排泄など本人が選んだ生活動作に参加できる

・退院時までに、支援者とともに、荷重・動作の注意点と異常時の相談先を確認できる

・退院時までに、本人の生活に合う転倒対策と骨の健康に関する受診・治療の継続方法を相談できる

看護計画

参考資料の内容を、病棟での観察・援助・説明に応用した例です。各介入の可否を一律に決めるものではありません。

O-P:観察・評価項目

・骨折部位、術式、手術日、荷重範囲、避ける動作、離床の開始条件と指示の変更

・安静時と動作時の痛み、部位・程度、表情や防御動作、鎮痛後の変化

・意識、呼吸、SpO₂、脈拍、血圧、体温、起き上がり時のめまい・気分不良

・創部の出血・浸出液、腫れ、発赤、疼痛の変化、患肢末梢の色・冷感・感覚・動き

・新たな片脚の腫れや痛み、突然の呼吸困難・胸痛、血栓予防薬の使用中の出血徴候

・受傷前と現在の寝返り・座位・移乗・歩行能力、補助具、介助量、転倒への不安

・普段との反応の違い、注意・覚醒の変動、夜間睡眠、眼鏡・補聴器の使用

・食事・水分の摂取、排尿・排便、皮膚の発赤やずれ、踵・仙骨部などの圧迫

・住環境、同居者等の支援、本人が再開したい生活と退院後に困りそうな動作

T-P:ケア・実施項目

・急な意識低下、呼吸困難、胸痛、循環の異常は直ちに応援を求め、院内の急変手順で対応する

・痛みは安静時だけで判断せず、体位変換やリハビリテーション前後に評価し、処方された鎮痛の効果と副作用を確認する

・術式・荷重指示に合う移乗方法、補助具、介助人数をチームで統一し、患者と一緒に試す

・医学的・外科的な禁忌がなければ術翌日から離床を検討する推奨を踏まえ、実際の開始時期は評価と指示で決める

・活動中の痛み、めまい、呼吸状態、疲労を確認し、異常時は安全を確保して中断・報告する

・脱臼予防などの動作制限は該当する手術と指示を確認し、すべての骨折患者へ同じ禁止肢位を当てはめない

・指示された血栓予防の実施状況を確認し、機器使用時は皮膚や圧迫による苦痛も観察する

・許可された範囲で姿勢を変え、体圧分散寝具や移動用具を活用し、皮膚にずれが加わらないよう介助する

・痛み、排泄の希望、感覚補助、夜間の音・光を調整し、普段との急な違いは報告する

・食事と排泄の援助を離床状況に合わせ、理学療法士・作業療法士・管理栄養士・退院支援担当者等と生活目標を共有する

E-P:教育・説明・生活支援

・痛みを我慢せず伝えてよいことと、動く前に援助を求める方法を説明する

・許可された荷重、補助具の使い方、座る・立つ手順を、口頭説明と実演で確認する

・突然の息苦しさ、胸痛、新たな患肢の腫れ、創部の悪化などはすぐ知らせるよう説明する

・家族等が介助する場合は本人の同意を得て手順を共有し、無理なく行える範囲を相談する

・退院前に動線、段差、履物、夜間のトイレ環境を確認し、必要な福祉用具やサービスにつなげる

・骨粗鬆症等の評価・治療、栄養、転倒予防について、本人に合う継続方法をチームと相談する

O-P・T-P・E-Pの背景と根拠

O-P:手術の条件と、痛みが生活へ及ぼす影響を捉える

大腿骨の付け根の骨折でも、骨折部位や固定・置換等の手術が異なります。体重をかけてよい範囲や避ける動作は、今回の手術と医師の指示で確認します。手術名が同じだから全員に同じ介助を行うのではなく、指示が変わった場合もチームで更新します[1,2]。

痛みは安静時と動作時を分けます。認知機能の低下等で数値を答えにくい場合も、表情、体のこわばり、手でかばう動作を見て評価します。例えば安静時は笑顔でも、移乗時に顔をしかめる人には、次の移乗前の鎮痛と方法の調整が必要かを検討します[3]。

出血、創部、患肢の色・冷感・感覚、呼吸、意識、起立時の不調も確認します。新たな片脚の腫れや痛み、突然の胸痛・息苦しさは、血栓等を含め速やかな評価が必要です。予防薬を使っている場合は出血の変化も見て、単に歩けたかだけで回復を判断しません[4]。

高齢者では、入院前と違って反応が遅い、食事を始めないといった変化にも注意します。痛み、眠り、排泄、感覚補助や環境を確認し、せん妄の評価につなげます。受傷前の生活を知り、現在の移動と更衣・排泄などの介助を分けて把握します[5]。

T-P:痛みを和らげ、その日に可能な離床を検討する

痛みが強いと必要な体位変換や離床が難しくなります。処方された鎮痛の効果が得られる時期と予定する動作を調整し、実施前後の痛み、眠気、呼吸、ふらつきを確認します。訴えが少ない人も痛みがないとは限らず、行動の変化を評価します[3]。

術翌日からの離床は医学的・外科的な禁忌がない場合の推奨であり、日数だけで歩かせるものではありません。荷重条件、全身状態、補助具、介助人数を共有します。例えば歩行が難しい日でも、許可された短い座位や食事姿勢など、可能な生活動作を検討します[3]。

脱臼に関する注意は、該当する術式と個別指示で確認します。全ての骨折患者へ同じ禁止肢位を当てはめません。血栓予防の薬や機器も、出血や皮膚への影響を見ながら指示どおり行い、海外資料の薬剤・期間を国内の処方へそのまま置き換えません[2,4]。

動けない期間は、圧を減らす寝具と体位調整を組み合わせます。用具やベルトが当たる場所も確認し、呼吸や痛みを悪化させない方法を選びます。夜間の刺激や排泄、眼鏡・補聴器、食事等も整え、皮膚とせん妄の予防を離床支援と並行します[5,6]。

E-P:病棟でできる動作を、退院先でも使える方法にする

荷重や立ち上がりの説明は、言葉だけで終えず、本人が使う補助具と場所で練習します。痛みを我慢せず伝えること、動く前に援助を求める方法を共有します。理解や記憶に支援が必要な場合も、本人の選択を尊重し、実物や短い声かけを活用します[3]。

例えば病棟の広い廊下では歩行器を使えても、自宅の狭いトイレでは回れないことがあります。家屋の動線、段差、寝具、夜間の照明、介助できる時間を確認し、必要な福祉用具やサービスを調整します。家族等の体力や仕事を確かめ、介助を当然の役割にしません。

再び骨折しないためには、転倒しやすい場面と骨の健康の両方に取り組みます。骨粗鬆症等の診療、栄養、視力や履物、薬剤等を多職種で確認します。運動や食事の指導は本人の病状に合わせ、「もう転ばない」と約束させるのではなく、実行できる具体策を選びます[3]。

創部の悪化、新たな脚の腫れ、胸痛や急な息苦しさは、予定受診を待たず相談・救急対応が必要な変化として共有します。退院時には移乗方法、補助具、鎮痛、残る介助と連絡先を次の担当者へ伝え、本人と支援者が迷ったときに確認できる形に残します[3,4]。

評価・見直し

・安静時・動作時の痛みと鎮痛後の反応を比較し、活動やケアが行いやすくなったか確認する

・移乗・歩行・排泄の介助量と活動後の疲労を記録し、術後日数だけで目標を進めない

・創部、末梢循環、皮膚、呼吸、認知の新たな変化は速やかに評価・報告する

・荷重や動作の指示が変わった場合は患者とチームへ共有し、援助方法を更新する

・退院・転院時は移動方法、補助具、痛みへの対処、残る支援と相談先を引き継ぐ

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参考資料

確認日:2026年10月17日。以下の資料を踏まえた看護計画の例です。実際の援助は患者の状態、診療指示、施設の手順に合わせて調整します。

・[1]日本整形外科学会『大腿骨頚部骨折』(掲載年の明示なし):大腿骨頚部骨折の病態と治療 参考資料を開く

・[2]American Academy of Orthopaedic Surgeons、OrthoInfo『Hip Fractures』(更新年の明示を確認できず、Treatment・Recovery):Treatment・Recovery:術式と回復時の個別条件 参考資料を開く

・[3]NICE『Hip fracture: management(CG124)』(2011年公表、2023年更新、1.3・1.7〜1.9):1.3・1.7〜1.9:鎮痛・離床と多職種の支援 参考資料を開く

・[4]NICE『Venous thromboembolism in over 16s(NG89)』(2018年公表、2019年更新、1.1・1.3・1.11):1.1・1.3・1.11:血栓・出血リスクと骨折時の予防 参考資料を開く

・[5]NICE『Delirium: prevention, diagnosis and management(CG103)』(2010年公表、2023年更新、1.3〜1.5):1.3〜1.5:せん妄のリスクと予防的援助 参考資料を開く

・[6]NICE『Pressure ulcers: prevention and management(CG179)』(2014年公表、成人の予防1.1):成人予防1.1:皮膚・除圧・寝具と個別支援 参考資料を開く

この記事はAIを用いて編集しています。

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