大腸がん術後の看護計画では、切除部位、腸をつないだ吻合の有無、ストーマの種類を確認し、腹部・全身状態と排泄の変化を捉えます。回復に必要な食事や活動を支えながら、合併症を疑う変化を通常の術後経過として見過ごさないことが大切です。
成人の結腸・直腸切除後を対象とした学習用例です。直腸を残すか、肛門を残すか、ストーマがあるかで排泄と創部の支援は変わります。すべての方にストーマや同じ排便パターンがあるとは想定しません。
看護計画名:大腸切除後の腹部・全身状態を捉え、排泄機能と生活の回復を支える
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・必要な治療と観察を受け、本人に設定された呼吸・循環の目標を保つことができる
・腹痛・張り・吐き気、排便や排尿時の困難を可能な方法で伝えることができる
・術式と回復段階に合う食事・水分を、必要な支援を受けて摂ることができる
・鎮痛と介助を受け、必要な体位変換・離床と排泄の援助に参加できる
長期目標
・変化した排便・排尿に合う方法を相談し、生活上の負担を軽くすることができる
・本人の回復に合う食事・活動・休息を生活の中で調整できる
・ストーマがある場合は本人の能力と希望に応じて排泄管理を行い、必要な支援を受けることができる
・合併症を疑う変化と受診・相談先を確認し、継続的な支援を利用できる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・結腸・直腸の切除範囲、吻合・肛門温存・ストーマの有無、術式と術後の時期
・意識・体温・脈拍・血圧、呼吸とSpO2、尿量・末梢循環、発症前や直前の状態との差
・腹痛の強さ・場所・性質、増悪や持続、腹部膨満、吐き気・嘔吐
・排ガス・排便の有無と推移、量・性状・血液混入、ストーマがある場合の排出状況
・創部・会陰部創の状態、排液の量・色・臭いと急な変化、ドレーン固定や挿入部
・血算・炎症反応・電解質・腎機能など指示された検査と出納・体重
・鎮痛の効果・眠気、呼吸・離床・食事や排泄動作への影響
・食事・水分の指示と摂取状況、食後症状、栄養状態と脱水の徴候
・尿道カテーテルの有無と尿の流れ、抜去後の尿意・排尿量・残尿感・下腹部の張り
・頻便・便意切迫・少量ずつ繰り返す排便、漏れと肛門周囲皮膚、睡眠や外出への影響
・ストーマがある場合の色・形・周囲皮膚・漏れと、本人が参加できる操作
・本人の理解と不安、排泄や性生活など相談しにくい困りごと、仕事・通院・支援者の条件
T-P:ケア・実施項目
・強い・増悪する腹痛、循環や意識の変化、発熱を伴う全身悪化などは直ちに応援と報告を行い緊急評価へつなぐ
・嘔吐・腹部膨満・排出減少等は術後日程だけで判断せず、飲食や薬剤の指示を再確認して報告する
・処方された鎮痛・輸液・薬剤を実施し、効果と呼吸・眠気・排便への影響を評価する
・創部・管類を手順に沿って管理し、ドレーン・胃管・カテーテルの無断操作を避ける
・回復段階と個別指示に沿って摂取を支え、症状がある場合は食事を進める前に相談する
・循環・呼吸・疼痛と管類の固定を確認し、介助で座位・立位・歩行を段階的に支える
・トイレの利用とプライバシーを整え、頻便や切迫感に合わせて動線・休息・必要な介助を調整する
・肛門周囲の便を優しく取り除き、皮膚状態に合う洗浄・保護を行う
・尿意が乏しく排尿できない場合等は、残尿確認・導尿などの評価と指示された対応へつなぐ
・ストーマがある場合は専門看護師等と装具・排出と水分管理を調整し、本人が行いたい工程を支援する
・便や食事の記録をもとに医師・管理栄養士と調整し、下剤・止痢薬・食物繊維を自己判断で追加しない
・退院後の排泄・食事・通院と仕事への復帰について、本人の生活に合わせた支援を整える
E-P:教育・生活支援
・実際に切除した部位と吻合・ストーマの有無を図などで確認し、今の排泄経路を説明する
・強い腹痛・張り、繰り返す嘔吐、発熱や急な全身悪化はすぐ知らせるよう伝える
・退院後に排便・排ガスが止まるなど普段と違う変化がある場合は、便秘と自己判断せず連絡するよう伝える
・食事・水分と食物繊維の増やし方は、回復段階・ストーマ・心腎機能等に合わせて相談するよう伝える
・頻便や漏れの記録は回数だけでなく食事・時間・困る場面を簡単に残す方法を練習する
・排尿しにくさ・残尿感や性生活の変化も、治療チームへ相談できると説明する
・下剤・止痢薬・鎮痛薬は処方どおり使用し、症状に応じた変更を相談するよう伝える
・外出前のトイレ確認、着替え・パッド等の準備と、ストーマがある場合の予備装具を相談する
・定期受診と時間外の連絡先を確認し、重い呼吸困難・意識変化等では119番へ連絡するよう共有する
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:切除部位と排泄経路に合わせて変化を読む
結腸は水分を吸収して便の状態を整え、直腸は便をためる働きがあります。そのため、どこをどの程度切除したかで、便の軟らかさ、回数、便意を我慢する力などの変化が異なります。例えば、直腸切除後に少量ずつ何度もトイレへ行く方と、結腸切除後に便が軟らかくなった方を、同じ下痢の計画だけで扱わないようにします。[1,2]
縫合不全は、つないだ腸の部分から内容が漏れる合併症です。腹痛や発熱などは他の術後変化にもみられるため、一つの症状や排液だけで診断できません。例えば、鎮痛後も痛みが強くなり、脈拍や呼吸・全身状態も変化している場合は、術創の痛みと決めつけずに伝えます。ストーマで便の流れをそらしていても、吻合部の問題を完全に除外できるわけではありません。[2]
術後イレウスは、術後に腸の動きが回復せず内容物を運びにくくなる状態です。腸が物理的に狭くなる・詰まる場合と対応が異なるため、看護で原因を確定せず、張り・嘔吐・排ガスや排便と全身状態を共有します。例えば、前日まで飲食できていたのに張りと嘔吐が増えたときは、「まだ便が出ていないだけ」と説明して終えないようにします。[2]
直腸の手術では、近くを通る排尿や性機能に関係する神経が影響を受ける場合があります。尿意が弱いと本人が困っていないように見えても、尿がたまっていることがあります。尿道カテーテル抜去後は尿意の訴えだけでなく、排尿量・残尿感・下腹部の張りを確認し、必要な測定や診察につなぎます。性機能の変化も、本人の希望に沿って相談機会を設けます。[1,2]
排便の回数と本人の困りごとは一致しない場合があります。例えば、回数は減っても急な便意で外出できない、夜間に何度も起きて眠れないといった問題が残ることがあります。回復の程度には個人差があるため、便の性状・切迫感・漏れ・生活への影響を一組で評価し、「排便あり」を目標達成の唯一の根拠にしません。[3]
T-P:合併症への評価と回復を促す援助を両立する
食事や離床を進める回復支援は大切ですが、決めた日程の達成を優先して悪化を見逃してはいけません。例えば、食後に吐き気が強く腹部が張るときは、食べた割合を増やすより、開始時刻・食形態・症状と排出の経過を伝えて再評価します。すべての手術で同じ絶食日数や食事量を定めず、現在の術式・合併症・治療指示を確認します。[2,4]
痛みを和らげると、深呼吸、起き上がりや歩行へ参加しやすくなります。ただし薬に伴う眠気やふらつきなどもあるため、鎮痛後の動作と安全を確認します。例えば、管のある患者さんがトイレへ急ぎたい場合には、管の固定・足元・介助方法を先に整えます。歩行を促すだけでなく、本人が安心して援助を呼べることも回復を支える条件です。[4]
頻便や便漏れが続くと、肛門周囲が湿って刺激を受け、痛みのため排泄後の清潔を保ちにくくなります。便を強くこすって落とすのではなく、状態に合う洗浄と保護を行います。例えば、皮膚の痛みが強い方には、洗浄方法と使用物品を見直し、便の管理方法も合わせて相談します。排便回数だけを減らすことに集中せず、皮膚と睡眠・外出への影響を確認します。[3]
ストーマをもつ方は、便が肛門から出ない場合でも消化管の排出を評価する必要があります。排液が水様で多い場合は脱水、急に出なくなり腹痛や嘔吐がある場合は閉塞等の評価につなげます。結腸ストーマと回腸ストーマでは便と水分の条件が違うため、腸切除後という理由で同じ飲水量や食事を勧めません。装具と皮膚の支援は専門看護師等と調整します。[1,2,5]
薬や食事の調整は、症状・手術部位・経過をもとに決めます。例えば「便が少ないから繊維や下剤を増やす」という対応は、腹部膨満や嘔吐があり閉塞を疑う場合には適しません。自己判断で薬を加える前に報告し、処方変更は指示に沿います。本人の希望を聞きながら、排泄を整えることと術後の安全を両立させます。[3]
E-P:排泄の変化を相談しやすい生活の工夫へつなげる
大腸がん術後の看護計画では、本人の排泄経路と退院後に起きやすい困りごとを、実際の手術に合わせて説明します。例えば、直腸切除後に肛門を温存し、肛門から排便する方の便意切迫への説明と、永久ストーマをもつ方の装具の説明を混ぜないようにします。本人が自分の手術を言葉や図で確認できると、退院先で必要な支援を伝えやすくなります。[1]
食事・排便の記録は、細かく完璧につけることが目的ではありません。例えば、「朝食後に急な便意が続き、外出を取りやめた」という短い情報でも調整に役立ちます。避ける食品を増やし続けるのではなく、量・食べ方・体調と症状の関係を相談します。水分の取り方も心腎機能やストーマの種類によって違うため、本人に決めた方法を確認します。[3]
外出や仕事の再開では、歩ける距離以外に、トイレの場所、便意を待てるか、休息や装具交換の場所などを確認します。例えば、通勤中の不安が強い場合は、短い外出から試す、着替えを携帯するなど本人が選べる工夫を探します。回復を急がせず、生活の負担が大きければ専門的な排便評価や社会的支援につなげます。[3]
退院後も、強い腹痛や張り、繰り返す嘔吐、排便・排ガスが止まるなどの変化は、普段の便秘と区別して相談する必要があります。例えば、市販の下剤で様子をみる前に、誰へ連絡するかを本人と確認します。強い腹痛や繰り返す嘔吐、発熱・全身状態の悪化がある場合は直ちに医療機関へ連絡し、重い呼吸困難や意識の異常がある場合は119番へつなぎます。[3,4]
評価・見直し
・呼吸・循環・腹部症状と排液を時系列で比較し、悪化時に速やかに報告・評価できたか確認する
・食事再開と活動が現在の状態に合い、嘔吐・張り・強い疲労時に見直せたか確認する
・排便・排尿と皮膚の状態を、本人の睡眠や外出等の生活負担と合わせて評価する
・ストーマがある場合は排出・水分出納・皮膚と管理方法を個別に評価する
・本人が緊急相談と通常の排泄相談を分け、薬・食事の自己変更を避ける方法を説明できるか確認する
・手術や治療の変更に応じて適用項目と退院支援を見直す
関連記事
・疼痛の緩和・コントロールに向けた看護計画|痛みの評価とケア
・手術部位感染のリスクに対する看護計画|創部の観察と退院後の相談
・消化管ストーマの看護計画|排泄・周囲皮膚の観察と装具交換の支援
参考資料
[1]国立がん研究センター がん情報サービス:大腸がん 治療(2025年3月24日更新・確認)
結腸・直腸手術と吻合・ストーマの適用条件
確認日:2026年10月18日
[2]Gloucestershire Hospitals:Anterior resection(2025年8月内容レビュー)
前方切除の吻合・ストーマ、縫合不全・イレウスと神経障害
確認日:2026年10月18日
[3]国立がん研究センター がん情報サービス:大腸がん 療養(2025年3月24日更新・確認)
排便・排尿の変化、生活の工夫と相談
確認日:2026年10月18日
[4]Hull University Teaching Hospitals:Colorectal Enhanced Recovery After Surgery Patient Diary(2024年2月29日更新)
大腸切除後の回復支援と退院後相談
確認日:2026年10月18日
[5]Cambridge University Hospitals:Diet and fluid advice for a high volume stoma or fistula(2026年3月6日承認、第6版)
高排液ストーマの水分・塩分喪失と補水の個別化。全大腸手術患者への一律制限ではない
確認日:2026年10月18日
この記事はAIを用いて編集しています。

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