乳幼児急性細気管支炎の看護計画は、細い気道の炎症で呼吸や哺乳が難しくなる児を支え、低酸素・無呼吸や脱水への対応につなぐ計画です。酸素の数字だけでなく、胸のへこみ、反応、飲むときの疲れなどを合わせて観察します。
ここでは主に2歳未満、とくに乳児の急性細気管支炎を扱う学習用の計画例を示します。低月齢・早産歴・心肺疾患等がある児は重症化への注意が必要です。喘息や肺炎等との診断は医療者が評価します。酸素・呼吸補助・補水や観察頻度、評価日は年齢と状態に合わせた指示・手順に従います。
看護計画名:乳幼児の呼吸と哺乳・水分の変化を早期に捉え、呼吸の安全と回復・家庭療養を支える看護
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・児が呼吸・反応の悪化に対する速やかな評価と必要な援助を受けられる
・児が状態に合う呼吸の補助と補水・栄養を受けられる
・児が刺激と負担の少ない環境で休息できる
・保護者が児の状態と現在のケアについて説明を受け、心配を伝えられる
長期目標
・児が呼吸と哺乳の回復に合わせて家庭での生活へ戻れる
・保護者が呼吸・尿・哺乳の変化を確認し、悪化時に相談できる
・家族が安全な睡眠と必要な清潔・禁煙の環境を整えられる
・家族が夜間も含む連絡先とケアの協力を確認して療養を続けられる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・月齢・出生週数、早産歴、心肺疾患・免疫低下等と普段の哺乳
・鼻汁・咳・発熱の開始と経過、感染者との接触
・呼吸数・深さと胸腹部の動き、陥没呼吸・鼻翼呼吸・呻吟
・無呼吸や呼吸の間隔、皮膚・口唇色、意識・活気と疲弊
・SpO2の持続的推移と装着・測定条件、個別酸素目標
・呼吸音、分泌物と鼻閉、ケア前後の呼吸・哺乳の変化
・普段と比べた哺乳・飲水量、途中のむせ・疲労・中断
・尿量・おむつの濡れ、体重・粘膜と脱水徴候
・酸素・呼吸補助の種類と設定、鼻や皮膚、機器と回路の状態
・経管・静脈補液の指示と実施量、入出量・検査と過負荷徴候
・睡眠・安静時の呼吸と反応、必要な介助・感染予防
・保護者の観察への理解、不安・睡眠、住環境と再受診の方法
T-P:ケア・実施項目
・無呼吸・チアノーゼ・強い呼吸困難や反応低下は応援を呼び、緊急対応を優先する
・呼吸の努力や反応が悪化したら、SpO2だけに頼らず直ちに診察と呼吸補助の再評価へつなぐ
・酸素は年齢・基礎疾患と持続的低酸素の指示に合わせ、使用後の呼吸・反応を確認する
・ケアをまとめて休息を確保し、不必要な刺激や長い処置を減らす
・覚醒中は頭頸部と気道を保ち、本人が楽な抱き方等を介助して前後の呼吸を確認する
・睡眠時は治療上の個別指示を確認し、家庭へ不適切な傾斜・うつぶせ寝を勧めない
・安全に飲める呼吸状態かを確認し、可能なら少量ずつの哺乳・飲水を支える
・哺乳が十分でない場合は経管または静脈の補水・栄養を個別指示で実施し反応を追う
・鼻汁が呼吸や哺乳を妨げる場合は手順に沿う必要な鼻のケアを行い、深い吸引を反復しない
・気管支拡張薬・抗菌薬・ステロイド、胸部理学療法を一律の細気管支炎治療として追加しない
・手指衛生と接触・飛沫への対応、玩具・環境の清掃を施設手順で行う
・退院判断では睡眠を含む安定・哺乳と、家庭で見守り受診できる条件を共有する
E-P:教育・生活支援
・細い気道の炎症で呼吸と飲むことに負担がかかり、経過の途中で悪化する場合があると説明する
・胸や肋骨の下がへこむ、息が止まる、青白い・ぐったり起きない場合は119番を利用する
・飲む量が大きく減る・尿が明らかに減る、呼吸が速くなるなどは直ちに医療機関へ相談する
・少量ずつの哺乳は安全に飲める状態で行い、苦しそうな児へ無理に飲ませないよう確認する
・鼻のケアは教わった方法で行い、吸引器を深く入れたり頻回に続けたりしないよう説明する
・抱いて体を起こすのは覚醒中に見守って行い、睡眠時は仰向け・硬く平らな寝床を基本にする
・寝床に枕や傾斜器具を足さず、病院の監視下の体位をそのまま自宅へ持ち込まないよう伝える
・手洗い、咳や鼻汁の処理・環境清掃、児の周囲の禁煙を確認する
・薬・吸入や酸素は独自に開始・増減せず、別の診断や個別処方がある場合はその説明を確認する
・夜間も様子を確認できる体制、受診先・移動手段と保護者の休息の協力を整える
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:酸素の値と、呼吸するための負担を合わせてみる
細気管支炎では、ウイルス感染によって肺の中の細い気道が腫れ、分泌物などで空気が通りにくくなります。乳児は気道が細く、呼吸と哺乳の両方に影響が出ます。例えば鼻水から始まり、その後に胸がへこむ呼吸や飲みの悪さが出たら、風邪のままと考えず変化を評価します。病名だけで重症度は決まりません[1〜3]。
呼吸数だけでなく、肋骨の下がへこむ陥没呼吸、鼻のふくらみ、うなるような声、呼吸の間隔をみます。例えば速く呼吸していた児が静かになっても、反応が弱く息が浅ければ改善とは限りません。呼吸の疲弊や無呼吸が疑われる場合は、測定が終わるのを待たずに応援と緊急評価を求めます[1〜3]。
SpO2は酸素化の手掛かりですが、児の動きや測定部位などの影響を受けます。短い低下と持続する低酸素を区別し、呼吸の努力・皮膚色・反応を合わせます。月齢が低い児や基礎疾患のある児では酸素の判断条件が異なります。例えば数値が一度良くても、無呼吸や反応低下を認めたらそのまま経過観察にはしません[1、2]。
息が苦しいと、吸う・飲み込む・呼吸をする動作を続けにくくなります。例えば飲み始めてもすぐ休む、むせる、いつもの量が取れない場合は、哺乳意欲だけの問題としません。飲んだ量と時間、呼吸への影響、尿の回数を合わせて確認します。脱水と呼吸の負担の両方から、口以外で補う必要性を評価へつなぎます[1、2]。
低月齢、早産歴、心肺疾患や免疫低下がある児は、初めの症状が軽くても注意が必要です。例えば大きな咳がなくても無呼吸が目立つ場合があります。保護者から普段の反応や飲み方の違いを聞き、睡眠時も含めてみます。家庭の見守りや再受診が難しければ、その条件も入院・退院判断へ共有します[1〜3]。
T-P:休息を保ち、呼吸と補水の支援を個別に選ぶ
乳幼児急性細気管支炎の看護計画では、酸素化と水分・栄養を支えながら回復を待つ援助が中心です。例えば処置を何度も分けて起こすと児が疲れる場合は、必要なケアをまとめて休息を整えます。呼吸の負担が増えるときは無理な哺乳や長い清潔ケアを中断し、現在の援助で安全を保てるか再評価します[1、2]。
酸素や呼吸補助は、持続的な低酸素と呼吸状態をみて選ばれます。全員へ同じ流量を使ったり、成人と同じ目標で数値を上げ続けたりしません。例えば低流量の酸素でも呼吸が悪化する場合は、測定条件を確認しつつ診察を求め、より強い補助が必要かを相談します。装着部の皮膚と回路も確認します[1、2]。
哺乳は呼吸を妨げない範囲で支え、飲める場合は少量ずつ試します。例えば途中で苦しそうになったら、予定の量を飲ませ切るより呼吸を優先します。十分に取れない場合は、経管や静脈からの補水を個別に検討します。量は体重や体液の状態で変わるため、普段の哺乳量をそのまま輸液量に置き換えず、入出量と反応を追います[1、2]。
鼻汁が上気道をふさぎ、飲むことや呼吸を妨げている場合は、必要な鼻のケアを考えます。一方、分泌物の多さだけで全員へ頻回の吸引を行うものではありません。例えばケア後に楽に飲めたかを確認し、刺激で苦しさが増せば方法を見直します。深い鼻吸引や一律の胸部理学療法を、通常の援助として反復しません[1、2]。
細気管支炎は、喘鳴があるから喘息と同じ薬を一律に使う病気ではありません。通常は気管支拡張薬、抗菌薬やステロイドを通常の治療として追加せず、別の診断や合併症があれば指示を確認します。例えば発熱や呼吸の経過が典型的でない時は検査の必要性を相談します。検査や薬を増やすこと自体を回復の指標にしません[1、2]。
E-P:呼吸の悪化と安全な家庭療養を家族へつなぐ
保護者には、咳の音より呼吸の仕方と反応に注目する方法を説明します。例えば肋骨の下が大きくへこむ、うなる、息が止まる、口唇が青い、ぐったり起きない場合は119番へ連絡します。日中の診察で軽症と言われても、その後の悪化は再評価が必要です。動画や家庭の測定値を集めるために緊急要請を遅らせません[1、3]。
飲める量が普段より大きく減る、尿が明らかに少ない、呼吸が速くなってきた場合は直ちに医療機関へ相談します。例えば鼻水を取れば飲めると考えてケアを繰り返すより、呼吸と補水を評価してもらいます。低月齢や基礎疾患のある児は、どの時点で連絡するかをより具体的に確認し、夜間・休日の受診先を残します[1〜3]。
起きているときに見守って抱き起こすことと、睡眠時の寝かせ方は分けます。家庭で眠る乳児は、基本として仰向けで、硬く平らな寝床を使います。例えば鼻づまり対策として枕や傾斜器具を足すと、頭が前に倒れるなど別の危険につながります。病院の監視下の体位を自宅でも続けると判断せず、退院時に確認します[3、4]。
ウイルスは鼻汁や咳、手や物を通して広がるため、手洗いと玩具・触れる場所の清掃を行います。例えばきょうだいが風邪のときは、児への接触や物の共用に配慮します。たばこの煙は重症化の危険につながるので、児の周囲を禁煙にします。保護者を責める説明にせず、家族でできる環境調整を一緒に考えます[3]。
乳幼児急性細気管支炎の看護計画では、児を見守る家族の休息も確保します。例えば夜間に一人で観察を続けて眠れない場合は、交代できる人と連絡手段を確認します。咳が残ることはありますが、予測した日数で必ず治ると説明しません。呼吸と飲水が悪化すれば予定の再診日より前に相談できると共有します[1〜3]。
評価・見直し
・無呼吸・疲弊・反応低下をSpO2だけで判断せず緊急評価へつなげたか
・月齢・基礎疾患に合う酸素と呼吸補助の反応を確認したか
・安全な哺乳と必要な補水を支え、入出量と呼吸を再評価したか
・休息を確保し、必要性に合う鼻のケアと感染対策を行えたか
・家族が悪化時の行動、安全な睡眠と受診・見守りの方法を確認できたか
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参考資料
[1]NICE NG9:Bronchiolitis in children: diagnosis and management(2015年公開・2021年8月9日更新)
小児細気管支炎の酸素条件、吸引と呼吸・補水、退院と家族説明
確認日:2026年10月19日
[2]Royal Children’s Hospital Melbourne:Clinical Practice Guidelines—Bronchiolitis(2023年11月更新)
乳児の重症化リスク、最小限の刺激、呼吸と栄養・補水、鼻ケア
確認日:2026年10月19日
[3]NHS:Bronchiolitis(2026年2月19日レビュー)
2歳未満の症状、緊急要請と家庭での哺乳・禁煙・感染予防
確認日:2026年10月19日
[4]NICHD:Safe sleep for your baby(2022年版)
家庭での乳児睡眠は仰向け、硬く平らで傾斜のない寝床とする安全条件
確認日:2026年10月19日

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