看護計画名:変形性膝関節症に伴う運動機能低下の管理
変形性膝関節症は高齢者を中心に増加している疾患で、膝関節の軟骨がすり減り、痛みや運動制限を引き起こします。本記事では、変形性膝関節症に対する看護計画を詳しく解説し、痛み緩和や関節機能の維持、日常生活の質向上を目的とした実践的なケアや指導方法について紹介します。
短期目標
・膝の痛みの程度や動作時の支障を具体的に表現できる
・関節に負担をかけない動作方法を理解し実践できる
・処方された鎮痛薬や外用薬を正しく使用できる
・歩行・移動に対する不安や困りごとを言語化できる
長期目標
・疼痛と上手に付き合いながら日常生活を継続できる
・リハビリやセルフケアを継続し、関節機能を維持できる
・転倒予防を意識した生活環境を整えられる
・自立した移動・生活を継続できる
O-P
・膝の痛みの部位・性状・発現タイミング(歩行時、立ち上がり時など)
・関節の可動域、腫脹、熱感、変形の有無と左右差
・歩行能力(杖使用、歩行距離、階段昇降)と介助レベル
・体重・筋力・BMIの変化や肥満の有無
・疼痛に対する心理的影響(活動量低下、抑うつ傾向など)
・使用中の鎮痛薬(NSAIDs、貼付薬など)とその効果・副作用
T-P
・患側の負担を軽減する体位・歩行指導(椅子の高さ、段差回避など)
・冷罨法または温罨法の適用による疼痛緩和ケアの実施
・医師の指示に基づき、鎮痛薬・外用薬の使用状況を確認し服薬支援を実施
・疼痛緩和に合わせた関節可動域訓練や筋力強化の実施(理学療法との連携)
・必要に応じて杖・歩行器などの補助具の導入支援と適切な使い方の確認
・転倒防止のためのベッド周囲・浴室・廊下の環境整備を援助
E-P
・変形性膝関節症の進行メカニズム(軟骨摩耗と炎症の反復)と慢性経過について説明
・日常生活での膝への負担軽減方法(正しい立ち上がり、階段の昇降方法、正座回避など)を具体的に指導
・体重管理の必要性と運動・食事の工夫についてアドバイス
・疼痛との付き合い方やセルフモニタリング(日内変動、活動量との関係)を説明
・再発や悪化時の受診目安(急な腫脹、歩行困難など)を明示し、自己判断力を支援
・術後(人工関節置換術など)の場合は、合併症予防と長期的な生活指導を実施
O-P(観察・評価)の背景と根拠
・変形性膝関節症では関節軟骨の摩耗と滑膜炎により疼痛や可動域制限が起こるため、関節の視診・触診・歩行状態の観察が重症度判断に有用である
・疼痛による活動制限は筋力低下や体重増加を招き悪循環に陥るため、身体機能と心理状態の両面から評価する必要がある
・薬物療法の効果と副作用の評価は、継続的な疼痛コントロールの成否に関わるため重要である
T-P(ケア・処置)の背景と根拠
・疼痛緩和のための物理療法(冷罨法、温罨法)は個別の炎症状況に応じて選択されるべきである
・関節への負担を軽減する日常動作指導や体重管理は、病態進行の予防に直結する基本的介入である
・リハビリテーションとの連携による運動療法は、可動域維持と筋力強化を図り、生活機能の維持に貢献する
・補助具の適切な使用は転倒予防や自立支援の観点から重要であり、患者の理解と実践が必要である
E-P(教育・指導)の背景と根拠
・変形性関節症は進行性の慢性疾患であり、疾患の特徴を理解することで長期的なセルフマネジメントが可能になる
・患者の生活に即した工夫(例:立ち上がり方、荷物の持ち方)を提案することで、無理のない生活習慣が身につく
・体重増加は膝への機械的負荷を増大させるため、運動・栄養・生活指導が予後改善に不可欠である
・痛みに対する心理的ケアや情報提供は、セルフケア継続のモチベーション維持にもつながる
関連外部リンク
公益社団法人日本整形外科学会「変形性膝関節症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/knee.html
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