扁桃摘出術後の看護計画は、咽頭の創部からの出血と呼吸の変化を早く捉え、飲み込むときの痛みを緩和しながら食事・水分と回復を支える計画です。退院後にも出血が起こり得るため、入院中の観察と自宅での連絡方法をつなげます。
成人の口蓋扁桃摘出後を想定した学習用の例です。小児、他の咽喉頭手術を同時に受けた場合、重い基礎疾患がある場合は別の条件があります。飲食・活動・口腔ケアの開始や方法、薬・評価日は手術内容と施設の個別指示に合わせます。
看護計画名:扁桃摘出後の出血と嚥下時の苦痛に対応し、安全な摂取と退院後の生活を支える看護
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・口の中の血液や飲み込み・呼吸の変化をすぐに知らせることができる
・痛みや吐き気を伝え、状態に合う緩和を受けることができる
・飲食の許可と方法を確認し、必要な支援を受けて摂取できる
・指示に合う口腔ケアと休息、最初の移動を介助を受けて行うことができる
長期目標
・自分に合う食形態と薬を使い、必要な栄養・水分を取る方法を相談できる
・創部を刺激しない口腔ケアと活動の方法で回復期の生活を送ることができる
・退院後に出血や摂取困難が起きたら、決めた窓口へ遅れず連絡できる
・受診と仕事・家事の再開を確認し、必要な支援を受けることができる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・手術内容と終了時刻、麻酔・止血と術後指示、出血しやすさや使用薬
・覚醒・気道・呼吸数と深さ・SpO2、酸素条件と循環の推移
・唾液・吐物の血液と量の変化、口腔内への貯留や頻回の嚥下
・血圧・脈拍・顔色・冷汗・めまいと意識、必要な血算等の検査
・咽頭痛・耳や顎の痛み、鎮痛前後と嚥下・会話・睡眠への影響
・吐き気・嘔吐の回数と性状、鎮痛・制吐薬の効果と眠気
・覚醒と嚥下、むせ・流涎、飲水と食事の量・温度・形態への反応
・尿量・口渇・粘膜・体重等と輸液、摂取不足の経過
・口角・舌・粘膜、創部と指示された診察結果、発熱や増悪する痛み
・安静・清潔・移動の状態、退院後の食事準備と通院・緊急連絡の手段
T-P:ケア・実施項目
・手術・麻酔からの経過を共有し、観察頻度と出血時の連絡条件を確認する
・出血は量と経過を確認して直ちに報告し、飲み込むため見える量だけで過小評価しない
・大量・持続出血、呼吸困難や循環・意識の悪化は応援を呼び緊急対応につなぐ
・出血時は意識・呼吸と循環に応じた体位で血液を排出しやすくし、飲食を中止して止血評価を受ける
・咽頭内へ独自に指や器具を入れたり、付着物を剥がしたりしない
・鎮痛・制吐を処方に沿って行い、飲み込みや摂取への効果と副作用を再評価する
・飲食は覚醒・嚥下と許可を確認し、指示された食形態で本人の痛みに合わせて援助する
・摂取不足や嘔吐時は入出量を共有し、指示された補液等と栄養の調整につなぐ
・創部を刺激しない手順で口腔の清潔と乾燥への援助を行う
・初回の移動は麻酔・鎮痛の影響と出血の有無を確認し、ふらつきに対応する
・退院前に薬・飲食・入浴や活動の指示を確認し、出血時に受診できる準備を整える
E-P:教育・生活支援
・血が混じる唾液・血の塊・頻繁に飲み込みたくなる感じはすぐ知らせるよう説明する
・血液は無理に飲み込まず、意識が清明なら前かがみで静かに出す方法を確認する
・退院後の出血は少量でも速やかに手術施設へ連絡し、多い・続く出血や呼吸困難・失神等は119番へ連絡する
・出血中は飲食や強いうがいをせず、自分で運転して受診しないよう伝える
・痛みを我慢して摂取をやめ続けず、処方された薬と相談方法を確認する
・食事の形態・温度・刺激物と開始時期は今回の指示に従い、食べられないときは連絡する
・白い付着物を自分で剥がさず、強いうがい等の刺激を避けて許可された口腔ケアを行う
・入浴・運動・仕事・飲酒等の再開を一律の日数で決めず、受診と個別指示で確認する
・発熱・増す痛み・飲水困難や尿の減少を相談する目安と、夜間休日の連絡先を確認する
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:見える出血と嚥下・全身の変化を合わせる
扁桃を摘出した場所には咽頭の創部が残り、手術直後だけでなく回復の途中でも出血することがあります。例えば帰室時に出血がなくても、その後に唾液の赤みや血の塊が増えていれば変化として評価します。術後の日数だけで安心せず、直前の状態、症状と量の経過を合わせます。退院していることも出血の可能性がなくなった意味ではありません[1、2]。
咽頭からの血液は外へ出ずに飲み込まれる場合があります。口元があまり汚れていなくても、頻回に嚥下する、吐いた物に血液があるなどを確認します。例えば眠気のある人が何度も飲み込む動きをしていたら、喉の渇きだけと考えません。呼吸と循環、意識も合わせ、見える出血量が少ないことを理由に報告を遅らせないようにします[2、3]。
嚥下痛が強いと、水分や食事を避け、内服も難しくなります。痛みの強さに加え、唾液を飲み込めるか、食事のどの形態がつらいかを聞きます。例えば痛み止めの後に飲水ができたなら、苦痛だけでなく摂取への効果も記録します。耳や顎への痛みが起こることもありますが、急に増す痛みや発熱等が重なれば診察につなぎます[1、4]。
麻酔や薬の影響が残る時期は、覚醒と呼吸を確かめてから飲食や移動を進めます。吐き気がある場合も、血液を飲み込んだ影響や薬等を含め経過を確認します。例えば強い眠気のまま水を飲ませず、必要な援助と指示を確認します。摂取不足が続くときは尿量や循環も見て、単に好き嫌いとして扱わないことが重要です[2、4]。
T-P:出血への対応と苦痛を和らげる援助を組み合わせる
扁桃摘出術後の看護計画では、出血が疑われた段階で評価と止血の準備へつなぎます。大量出血や呼吸・意識の変化では、観察項目を全て埋めるより応援要請を優先します。意識が清明なら血液を飲み込みにくい姿勢で排出を助けますが、意識低下時は同じ座位を無理に取らせず、気道と循環を守る急変手順に従います[2、3]。
出血中に飲食や強いうがいをさせて止まるか試す方法は避けます。咽頭内を自分で触ったり、白い付着物を剥がしたりすることも創部への刺激になります。例えば口の中に血がある場合は、無理に奥をこすらず、状態と量を報告して医師の診察へつなぎます。必要な吸引や処置も訓練と施設の指示に沿って行い、独自に深く器具を入れません[1〜3]。
鎮痛は食事や水分、睡眠を支える目的でも行います。例えば許可された食事の前に痛みが強い人には、処方の投与間隔と効果が出る時期を確認して援助を調整します。効かない場合に残薬や市販薬を重ねず、使用量と反応を共有します。飲み込めない場合も我慢を促すだけにせず、薬の経路や補液等の調整を相談します[1、2、4]。
食事の進め方は施設や術式、創部の状態で異なります。例えば国内のクリニカルパスでは柔らかく刺激の少ない食事を段階的に進める例がありますが、その日程や必要量を全員共通の目標にしません。本人の嚥下と痛み、出血の有無を確認し、その人への指示を優先します。食べられる形と量を記録し、足りないときは栄養と補液の相談へつなぎます[1、2]。
清潔と休息も、創部を守りながら回復するための援助です。例えば強いうがいを避ける指示がある場合は、許可されたやさしい含嗽や歯磨きの方法を一緒に確認します。口腔の乾燥でつらいときは環境や保湿を調整します。咳が続く、便秘で強くいきむなどの負担も共有し、本人に我慢を求めるだけでなく必要な治療へつなぎます[2]。
E-P:退院後の出血時に迷わず連絡できる準備をする
退院時には「何日たったから大丈夫」ではなく、創部が回復する途中にも出血があることを説明します。例えば自宅で唾液が赤くなったら、量が増えるまで待たず手術施設へ連絡します。血が止まったように見えても経過を伝え、受診の要否を確認します。大量・持続出血、息苦しさや失神等がある場合は119番を使うことを分けて伝えます[1、3]。
出血の最中は本人が混乱し、手段を探すことが難しくなります。例えば電話番号、手術日と病院名、移動を頼める相手を一枚にまとめ、休日の窓口も確認します。自分で車を運転して受診することは避けます。支援者がいる場合は本人の同意を得て同じ手順を共有し、気分が悪くて話せない場合にも助けを求められる形にします[3]。
食事と活動の説明は、その人の退院指示と日常の予定へ置き換えます。例えば仕事で荷物を運ぶ人には、机での作業と同じ復帰条件を当てはめません。食事も痛みや創部に合わせ、硬い物や熱い物等の扱いを確認します。インターネット上の異なる施設の食事表を自己判断で混ぜず、迷った際の相談先を伝えます[1、2]。
扁桃摘出術後の看護計画は、痛みを完全に我慢できる人を目標にしません。例えば薬を飲んでも水分が取れない、尿が明らかに減る、発熱や痛みが増す場合は早めに相談する必要があります。本人に連絡の場面を言葉にしてもらい、説明の食い違いを直します。受診日までの食事準備や家事も含め、必要な援助を利用できるようにします[1、2、4]。
評価・見直し
・出血を量だけでなく嚥下・嘔吐と呼吸循環から捉え、速やかに対応したか
・痛みと吐き気の緩和が摂取・睡眠につながり、薬の負担を再評価したか
・飲食と清潔の方法が覚醒・嚥下・創部と指示に合っているか
・摂取不足と移動の問題を評価して必要な支援へつなげたか
・本人と支援者が出血時の連絡・救急利用と退院後の生活条件を確認できたか
関連記事
・疼痛の緩和・コントロールに向けた看護計画|痛みの評価とケア
参考資料
[1]順天堂医院:口蓋扁桃摘出術(掲載年不明)
創部出血の時期、咽頭痛と退院後の活動・食事
確認日:2026年10月19日
[2]市立札幌病院:扁桃摘出手術を受けられる患者様へ(2024年9月改訂)
術後の出血報告、口腔ケア、摂取と個別の退院条件
確認日:2026年10月19日
[3]Norfolk and Norwich University Hospitals:Advice about Bleeding after Tonsillectomy(Adults)(2024年1月16日レビュー)
成人の退院後出血の医療連絡、緊急時救急要請と自分で運転しない対応
確認日:2026年10月19日
[4]Dorset County Hospital:Tonsillectomy in Adults(2020年レビュー・承認)
疼痛・耳への痛み、摂取、悪化時と退院後の相談
確認日:2026年10月19日

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