鼻出血の看護計画は、鼻から出る血液と喉へ回る血液、呼吸・循環の変化を捉え、適切な初期対応と必要な処置につなぐ計画です。血液の見た目だけで慌てたり軽視したりせず、本人の状態と経過に沿って判断を共有します。
成人の一般的な鼻出血を対象とした学習用の例です。大量出血、呼吸や意識の悪化、強い頭部・顔面外傷では通常の応急処置だけで待たず緊急評価を優先します。手術後や特殊な出血性疾患では個別の計画を加え、処置と薬の扱い・評価日は指示に従います。
看護計画名:鼻出血に伴う血液の流入と循環変化に対応し、止血と再出血時の行動を支える看護
以下は看護計画の例です。目標の期限や援助内容は、本人の状態・希望と治療方針に合わせて設定してください。
看護目標
短期目標
・出血の始まりと喉への血液、気分不良を伝えることができる
・状態に合う姿勢と援助を受け、必要な圧迫止血や診察を受けることができる
・不安や息苦しさを伝え、説明と支援を受けることができる
・止血後の注意と、処置した物の扱いを確認できる
長期目標
・鼻を刺激しない生活と指示されたケアを、支援を受けて行うことができる
・再出血時に適切な圧迫と医療相談を行い、緊急徴候では救急要請できる
・使用薬を医療者と確認し、自己判断で中断・追加せず相談できる
・繰り返す出血や他の出血症状があれば受診し、必要な検査と通院を継続できる
看護計画
O-P:観察・評価項目
・発症時刻・持続・側と出血の勢い、再発回数とこれまでの対応
・前方へ出る血液と喉への流入、血塊・吐血様の嘔吐、飲み込んだ可能性
・呼吸・SpO2・意識、咳込みと気道に血液がたまる状態
・血圧・脈拍・顔色・冷汗・めまい・脱力と普段との差
・鼻や頭部の外傷、術後・鼻腔処置・乾燥・鼻炎と刺激の経過
・抗凝固薬・抗血小板薬・市販薬等の名前・最終使用と変更
・出血性疾患・肝疾患等の既往、他部位の出血と家族の出血歴
・必要な血算・凝固等の検査と指示、処置前後の変化
・パッキング等の種類・固定・留置時刻と出血、痛み・呼吸とずれ
・不安、圧迫できる手の機能、支援者と通院・再出血時の連絡手段
T-P:ケア・実施項目
・出血と呼吸循環を早く評価し、大量出血や気道・意識の問題では応援を呼び急変対応する
・意識が清明で循環が安定している一般的な出血では座位で軽く前かがみにし、血液を飲み込まず出すよう援助する
・骨のある鼻根ではなく柔らかい小鼻を両側から持続圧迫し、状態を見ながら施設手順で対応する
・圧迫しても止まらない、喉へ流れ続ける、気分不良がある場合は早急に医師の評価へつなぎ、圧迫時間を待つだけにしない
・ティッシュ等を奥へ詰めたり、鼻を強くかませたりする独自処置を避ける
・診察や指示された焼灼・パッキング等の準備と介助を行い、処置前後の呼吸循環と出血を確認する
・留置物は種類と除去予定を記録し、自己抜去・押し戻しや無断の追加処置を防ぐ
・処方薬は原疾患と出血を合わせ医師・薬剤師へ確認し、無断の抗血栓薬中止や拮抗処置を行わない
・疼痛と不安を緩和し、鼻閉時の口腔乾燥等を状態に合わせて援助する
・止血後も再出血と全身状態を再評価し、原因評価・受診と自宅での支援を整える
E-P:教育・生活支援
・意識がはっきりした一般的な鼻血では座って軽く前かがみになり、口で呼吸する方法を説明する
・柔らかい小鼻を両側から10〜15分を目安に途中で離さず押さえる方法を一緒に練習する
・顔を上向きにせず血液を静かに吐き出し、首の後ろを叩く・ティッシュを奥へ詰める方法を避ける
・圧迫しても出血が続く場合は速やかに医療機関へ連絡し、大量出血・呼吸困難・失神等は時間を待たず119番へ連絡する
・頭や顔を強く打った後の出血、抗血栓薬使用中や反復する出血は早めに医療相談する
・鼻を強くかむ・ほじる等を避け、飲酒・運動・入浴や仕事の再開は止血処置と個別指示を確認する
・留置物を自分で抜いたり押し込んだりせず、ずれ・再出血・増す痛みや発熱、見え方や呼吸の変化は速やかに医療機関へ連絡する
・保湿薬や点鼻等は処方・手順に沿い、薬の自己追加や抗血栓薬の自己中断を避ける
・処置後の再診・除去予定と夜間休日の連絡先を確認し、支援者へ共有する範囲を相談する
・出血が続く、ふらつく等で受診する際は自分で運転せず、付き添いや必要時の救急搬送を利用する
O-P/T-P/E-Pの背景と根拠
O-P:外へ見える血液と呼吸循環を同時に確認する
多くの鼻出血は入口に近い血管から起こりますが、鼻の奥など圧迫が届きにくい場所の出血もあります。例えば鼻の前からあまり出なくても、喉へ血液が流れ続けるなら止まったとは判断できません。開始時刻と前方・咽頭への流れを合わせ、血液を飲み込んだ可能性も伝えます。鼻血という名前だけで全例を軽い出血として扱わないことが重要です[1、2]。
出血の重さは、汚れたティッシュの枚数だけでは評価できません。呼吸、意識、脈拍や血圧、顔色、冷汗、気分不良を合わせてみます。例えば血液を飲んで吐いた人には、吐き気だけでなく出血と気道の状態を確認します。大量出血や息苦しさ、失神に近い状態では、測定や圧迫時間の完了を待たず応援を呼びます[2、3]。
薬と出血しやすさの情報は、止血の方法やその後の評価に関わります。例えば抗凝固薬を使う人では、薬の名前と最終使用を確認し、他部位の出血やあざも聞きます。本人が「血をさらさらにする薬」としか分からなければ、薬手帳や処方元で照合します。鼻出血だけで薬の必要性がなくなったとは判断せず、原疾患も共有します[1〜3]。
処置後は鼻から血が出ないことだけで終えません。パッキング等の留置物がある場合は、ずれ、出血の持続、痛みと呼吸の変化を確認します。例えば鼻が詰まって眠れない人でも、本人の苦痛と機器・留置物の状態を分けて評価します。種類と除去の予定を記録しておくと、担当が変わっても自己抜去や放置の行き違いを防ぎやすくなります[3]。
T-P:正しい部位の圧迫と早い専門評価を組み合わせる
鼻出血の看護計画では、安定した一般的な出血に対する圧迫の場所を明確にします。骨のある鼻の付け根ではなく、入口に近い柔らかい小鼻を両側から押さえます。例えば鼻根をつまんでいた人には、実際の部位を示して持続圧迫へ変えます。押さえられない手の痛み等があれば援助し、患者に一人で続けるよう求めません[1〜3]。
意識が清明なら、座って軽く前かがみになると血液を飲み込みにくくなります。上向きや仰向けで喉へ流し込む方法は、嘔吐や気道の問題につながるため避けます。ただし循環が悪い、意識が落ちた人へ座位を強要しません。例えば反応が弱くなった場合は通常の圧迫手順を続けるだけにせず、気道と循環を守る急変対応へ切り替えます[1、2]。
圧迫は途中で何度も離すと十分な止血につながりにくくなります。一方、圧迫しても続く出血や喉へ流れ続ける血液は、専門的な処置が必要な場合があります。例えば安定した人へ持続圧迫を援助しつつ、止まらなければ診察へつなぐ準備を行います。頭部・顔面外傷や大量出血では、通常の応急処置の時間を待ってから相談することは避けます[1〜3]。
抗血栓薬の休薬や拮抗は、止血と血栓の危険を合わせて医師が判断します。生命を脅かす出血でない場合、まず局所の止血を進める考え方があり、薬の自己中断は勧めません。例えば次の内服時刻が近く不安な人には、どちらかを看護師だけで決めず処方医へ確認します。重症時は相談手順と並行して緊急の止血・全身管理へつなぎます[3]。
鼻腔内へ奥深く物を入れる、留置物を抜いて入れ直す等の独自処置は粘膜を傷つけるおそれがあります。診察で止血方法が選ばれたら、物品と除去計画、異常時の対応を確認します。例えばガーゼがずれた場合は自分で押し戻さず、状態を伝えて評価を受けます。処置に伴う痛みや不安も聞き、必要な説明を短く区切って行います[1、3]。
E-P:自宅での初期対応と救急の条件を分けて伝える
自宅での説明では、小鼻の圧迫を言葉だけで済ませず、本人が部位と姿勢を示せるか確認します。例えば安定した一般的な鼻血では10〜15分を目安に途中で離さず圧迫しますが、その間に息苦しい、大量に出る、気が遠くなる場合は待ちません。119番へ連絡する状況を同じ紙に示し、応急処置が受診を遅らせる理由にならないようにします[1、2]。
血を飲み込むと気分が悪くなったり吐いたりする場合があります。顔を上向きにして血液が見えなくなることを、止血したと勘違いしない説明が必要です。例えば流れてきた血液は静かに吐き出すことを練習し、首を叩く方法等をやめる理由を伝えます。出血量が多く一人で対応できない場合は、周囲へ援助を呼ぶ手段も一緒に確認します[1、2]。
止血後の鼻は再び刺激しないことが大切です。例えば鼻を強くかんだり、かさぶたを取ったりせず、点鼻・保湿薬は指示された方法を使います。入浴や飲酒、運動の制限期間は資料や処置で異なるため、一律の期間を全員へ当てはめません。本人の仕事や家事に置き換え、今回の処置と診察で示された再開条件を確認します[1、2]。
鼻出血の看護計画には、繰り返す場合の原因評価と通院も含めます。例えば毎回止まっても頻回に続く、ほかの場所にも出血がある場合は、自己処置だけを繰り返さず医療機関へ相談します。抗血栓薬を含む薬の情報を持参し、留置物の除去予定も守れるよう調整します。夜間休日の連絡先と支援者を確認し、本人が実際に行動できる形で説明を終えます[2、3]。
評価・見直し
・呼吸循環と喉へ回る血液を含めて評価し、緊急対応を遅らせていないか
・適切な姿勢と部位で圧迫し、続く出血を専門評価へつなげたか
・薬と原疾患を照合し、自己中断や独自の鼻腔操作を防いだか
・処置後の出血・留置物と苦痛を確認し、除去予定を共有したか
・本人が圧迫・相談と119番の条件を区別して実行できるか
関連記事
・疼痛の緩和・コントロールに向けた看護計画|痛みの評価とケア
参考資料
[1]東京逓信病院:鼻出血(鼻血)(掲載年不明)
小鼻の圧迫、前かがみ、血液を飲まない対応と止血後の注意
確認日:2026年10月19日
[2]NHS:Nosebleed(2023年12月5日レビュー)
10〜15分の持続圧迫と出血遷延・全身症状時の受診
確認日:2026年10月19日
[3]Tunkel DEほか:Clinical Practice Guideline: Nosebleed(Epistaxis)(2020年)
緊急度、圧迫、パッキング後教育と抗血栓薬の扱い
確認日:2026年10月19日

コメント