掌蹠膿疱症は手のひらや足の裏に膿疱ができる慢性炎症性疾患で、痛みやかゆみを伴い日常生活に支障をきたすことがあります。症状の緩和と再発予防のためには、継続的な皮膚ケアと患者教育が重要です。本記事では掌蹠膿疱症に対する看護計画を詳述し、患者の生活の質を向上させる具体的な支援方法を紹介します。
短期目標
・手掌・足底の皮疹や膿疱の状態を自覚的に説明できる
・患部の清潔を保ち、感染予防に努めることができる
・指示された外用薬・内服薬を正しく使用できる
・症状による苦痛や生活への影響を言語化できる
長期目標
・皮膚症状の再燃を予防するためのセルフケアを継続できる
・仕事や家事など、日常生活を皮膚症状に配慮しながら調整できる
・皮疹や痛みの変化に気づき、早期に受診判断ができる
・QOLを維持しながら慢性疾患として症状と付き合うことができる
O-P
・掌蹠部の膿疱・紅斑・落屑・びらんの有無と範囲、左右差、経過
・掻破や二次感染の有無(腫脹、発赤、滲出液、悪臭など)
・皮膚症状による日常生活の影響(洗い物、歩行、仕事など)
・入浴・清潔ケア・薬剤塗布の実施状況
・ストレス、不安、喫煙習慣、既往(扁桃炎、関節症状など)の有無
T-P
・1日1回以上、石けんを使わずぬるま湯で優しく患部を洗浄し、よく乾燥させるよう支援
・指示に基づいたステロイド外用薬・ビタミンD3外用薬の塗布、タール剤の使用を確認し、適切な手技を指導
・滲出・びらんがある場合は非固着性の保護材を用いたドレッシングやガーゼ保護を実施
・歩行困難な場合は患部への圧を軽減する靴やクッション性のある保護具の調整を支援
・掻破行動や自己処置による悪化予防として、短爪・冷罨法・心理的介入も含めた包括的ケアを実施
E-P
・掌蹠膿疱症は慢性・再発性疾患であり、完治よりも寛解状態の維持が目標であることを説明
・再燃因子(喫煙、ストレス、感染、金属アレルギーなど)を一覧化し、日常生活でのコントロール方法を具体的に指導
・スキンケア(刺激回避、保湿、薬剤継続使用など)の具体的手順と理由をわかりやすく説明
・仕事や家事への影響を考慮したセルフケアの調整(ゴム手袋の使用、靴下・中敷きの工夫など)を提案
・関節痛や扁桃炎などの随伴症状がある場合には、早期に受診・相談できるよう情報提供を行う
O-P(観察・評価)の背景と根拠
・掌蹠膿疱症は手掌や足底に対称性に膿疱・紅斑・落屑を繰り返す疾患であり、視診と生活機能への影響を評価することで重症度を判断できる
・感染リスクを伴うため、掻破やびらん部位の観察は、局所感染や蜂窩織炎の早期発見に重要である
・生活動作への支障度はQOLに大きく影響し、ケア介入の優先順位決定に直結する
・再燃リスク因子として、喫煙・ストレス・感染症など多因子的要素があるため、背景因子の把握が欠かせない
T-P(ケア・処置)の背景と根拠
・皮膚の過度な刺激を避けた清潔保持は、膿疱の二次感染や増悪を防ぐ基本であり、患者の皮膚状態に応じた個別ケアが求められる
・外用薬は炎症軽減や角化改善を目的とし、正確な塗布が治療効果の維持に不可欠である
・びらん部への適切な創傷管理は疼痛や摩擦による悪化を防ぎ、日常生活動作の維持につながる
・足底病変による歩行困難や疼痛は、移動・転倒のリスクを高めるため、保護的介入が必要である
・掻破行動は皮膚バリアをさらに損傷し、炎症悪化や感染拡大を引き起こすため、包括的な行動支援が重要である
E-P(教育・指導)の背景と根拠
・掌蹠膿疱症は症状の寛解と再燃を繰り返す慢性皮膚疾患であり、患者自身が疾患を理解し、ケア行動を継続する力を育むことが看護の核心である
・悪化因子は日常生活に潜んでおり、それを把握・調整することで症状の安定化が期待できる
・継続的スキンケアの指導は、薬剤の自己中断や誤った使用による悪化を防ぐうえで不可欠である
・生活上の工夫を具体的に示すことで、QOLを維持しながらケアを続けやすくなる
・関節炎など他症状との関連にも注意を促し、症状変化に早期に対応できるよう指導することが、合併症予防に有効である
関連外部リンク
日本皮膚科学会「掌蹠膿疱症」
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa19/
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