セルフケア不足は患者の衛生管理や移動、食事など日常生活動作に支障をきたす状態であり、早期の介入が生活の質を維持・向上させる鍵となります。本記事ではセルフケア不足の原因分析から、具体的な看護計画と支援方法を詳述し、患者の自立促進を目指す実践的なアプローチを紹介します。
短期目標
・自分が行えていないセルフケアの項目に気づき、言葉で表現することができる
・介助を受け入れながら日常のセルフケアを実施することができる
・セルフケアの必要性を理解し、継続する意欲を持つことができる
・食事・清潔・排泄などの基本的な生活行動を一部でも自立して行うことができる
長期目標
・自立した生活を目指し、セルフケア能力を維持・向上することができる
・生活の中でセルフケアを日課として継続することができる
・必要な支援を適切に活用しながら、自分らしく生活を送ることができる
・家族や支援者と協力して生活の質を保ち続けることができる
O-P
・ADL(食事、更衣、排泄、整容、移動など)の自立度
・身体機能(筋力、関節可動域、バランス、視力など)
・認知機能、記憶力、判断力の状態
・セルフケアを妨げる要因(痛み、抑うつ、疲労など)
・生活環境(住宅構造、設備、支援体制)
・患者のセルフケアに対する意欲・モチベーション
・既往歴や服薬による影響(抑制薬、利尿薬など)
T-P
・セルフケアの評価と実施可能な項目の選別
・できることは自立を促し、困難な動作には部分介助を実施
・食事・排泄・整容の時間や手順を固定化して習慣化を支援
・福祉用具(歩行器、手すり、浴槽台など)の使用促進
・身体機能向上のためのリハビリ訓練との連携
・生活動作に適した環境整備と危険因子の除去
・褥瘡予防や衛生管理を並行して実施
E-P
・セルフケアの必要性と自立支援の目標について説明
・小さな成功体験を通して自信を持てるよう声かけを工夫
・1日の生活リズムにセルフケアを組み込む方法を指導
・介助者にも過介助を避けた適切な関わり方を助言
・福祉サービスの活用方法や相談先を案内
・疲労や痛みがあるときの対応法とセルフモニタリング方法を共有
・できたことの記録と振り返りを習慣づける支援を行う
O-P(観察・評価)の背景と根拠
・清潔保持、排泄、食事、移動、衣服の着脱などの日常生活動作(ADL)の遂行状況は、セルフケア能力の評価に直結し、介助レベルや支援の必要性を判断する基礎となる
・筋力低下、関節可動域制限、バランス障害などの身体的要因や、認知機能の低下、うつ傾向などの精神的要因は、セルフケア障害の背景として必ず評価すべきである
・生活環境(手すりの有無、浴室やトイレの構造、家族の支援体制)もセルフケア実行の可否に大きく影響するため、退院後を見据えた視点が求められる
T-P(ケア・処置)の背景と根拠
・必要な場面での介助提供は、安全と尊厳を両立させつつ、セルフケア機能の保持を図る基本的支援である
・動作の一部のみを援助する「部分介助」や「見守り」は、自立を促進し、過介助による廃用症候群を防ぐ観点から重要である
・環境整備や福祉用具の活用(歩行器、自助具など)は、身体機能の補完とセルフケアの実行性向上につながる
E-P(教育・指導)の背景と根拠
・自分でできること・できないことの区別を本人が理解することは、自立支援の第一歩となり、安全なセルフケア実践を助ける
・家族への介助技術や見守り方法の指導は、介護負担の軽減と継続的な支援体制の安定に寄与する
・慢性疾患(脳卒中、認知症、骨折後など)の患者では、再発予防や機能回復の視点を含めたセルフケア支援が、生活の質の維持に欠かせない
関連外部リンク
日本看護協会「セルフケア支援」
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/selfcare.html
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