看護計画名:心不全に伴う症状管理と生活支援
心不全は心臓のポンプ機能低下により全身への血液循環が不十分となり、息切れや浮腫などの症状が現れます。在宅患者では継続的な症状観察と生活習慣の支援が重要で、看護師は患者と家族と連携しながら適切なケアを提供します。本記事では心不全在宅患者に対する具体的な看護計画とケア方法を詳しく解説します。
短期目標
・安静時および軽度の活動時に呼吸困難が軽減し、在宅で安定した生活が送れる
・体重の増加が抑えられ、浮腫の改善が確認できる
・排尿量が適切に維持され、利尿薬の効果が確認できる
・患者および家族が悪化徴候(体重増加、呼吸困難、倦怠感)を認識し、早期に訪問看護師や医療機関へ報告できる
長期目標
・呼吸困難の発生頻度が減少し、日常生活活動が維持できる
・体重および浮腫のコントロールが継続できる
・塩分および水分制限が自己管理できる
・自己管理が定着し、在宅生活が安定して継続できる
O-P
・呼吸状態(呼吸数、SpO₂、起座呼吸の有無、咳嗽・痰の有無)
・体重の変動(1日ごと・週ごとの比較)、むくみの出現部位・程度
・血圧・脈拍・体温の変動と、日内でのバラつき
・尿量、夜間頻尿、浮腫との関係性
・日常生活への影響(息切れによる食欲低下、会話時の息切れ、ADLの変化)
・服薬状況(利尿薬、β遮断薬、ACE阻害薬等)と副作用の有無
・食事内容(水分・塩分摂取量)、嗜好品(漬物、インスタント食品など)
T-P
・毎朝の体重測定を家族と協力して継続できる体制を整える
・起座位保持や足挙上による呼吸困難・浮腫軽減の体位調整を支援
・呼吸困難時の安静確保、酸素投与(在宅酸素)の管理を実施
・薬剤の服薬カレンダーやピルケースによる管理支援
・必要時、かかりつけ医との連携による利尿薬調整や緊急時対応(指示受け)
・食事の塩分・水分制限を考慮したメニュー選定を訪問栄養指導と連携して支援
E-P
・心不全の進行性と、再増悪を防ぐには自己管理が不可欠であることを説明
・体重2kg以上の短期間増加、呼吸困難、浮腫などの再燃サインを本人・家族に周知
・薬の服薬目的、副作用(低血圧、めまい、頻尿など)を説明し、継続の重要性を指導
・水分制限(1日1000〜1500ml程度)と塩分6g以下の目安を具体的に伝える
・家庭内での移動・排泄・入浴時に無理のない動作を工夫する(座って調理、段差回避)
・HOT使用中は火気厳禁、加湿器や配管の管理、緊急時の酸素残量チェックを家族と共有
O-P(観察・評価)の背景と根拠
・心不全は再増悪を繰り返す慢性疾患であり、日常の変化(体重、浮腫、呼吸状態)から早期発見することがQOL維持の鍵となる
・バイタルや尿量は心拍出量やうっ血状態を間接的に示すため、在宅でも記録と傾向観察が不可欠
・薬剤アドヒアランスと塩分・水分摂取状況の把握は、再入院予防において特に重要な要素である
T-P(ケア・処置)の背景と根拠
・体位調整(起座位、下肢挙上)は静脈還流の調整を通じて呼吸困難と浮腫を改善する基本ケアである
・在宅酸素療法は心不全による低酸素状態を緩和し、呼吸仕事量を軽減するが、管理不備による事故リスクもあるため慎重な対応が必要
・薬剤管理の支援が不足すると、利尿薬の自己調整や服薬中断につながり、再増悪の引き金となる
・食事制限を無理なく継続できるよう、実生活に即した栄養指導・家族介入が不可欠
E-P(教育・指導)の背景と根拠
・心不全管理の基本は日々のセルフモニタリング(体重・症状・バイタル)であり、家族と共有しながら継続することで早期対応が可能となる
・塩分制限や服薬継続、受診判断などの知識と意識は、患者・家族双方に教育が必要であり、看護師の継続的関与が重要
・在宅療養では家族が重要な役割を担うため、本人だけでなく家族の理解と協力体制の構築が安全管理の前提となる
【参考】厚生労働省 e-ヘルスネット:心不全
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-065.html
・厚生労働省「在宅医療の推進」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187383.html
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