脂漏性湿疹の看護計画|症状緩和と皮膚ケアで快適な生活を支える

看護計画名:脂漏性湿疹に伴う皮膚統合性障害のリスク

脂漏性湿疹は皮脂の過剰分泌が原因で頭皮や顔面に炎症やかゆみを生じる慢性皮膚疾患です。適切な看護計画は皮膚統合性の維持と症状緩和を目指し、患者の生活の質を向上させる重要な役割を果たします。本記事では脂漏性湿疹の病態から効果的なケア方法まで詳しく解説します。

目標
短期目標
・かゆみの強さや頻度を自覚的に表現できる
・皮膚の清潔を保ち、自分の皮膚状態を把握できる
・医師の指示通りに薬剤を使用できる
・悪化因子を理解し、日常生活の中で調整できる

長期目標
・脂漏性湿疹の症状を自己管理できる
・皮膚症状の再燃予防を意識して行動できる
・スキンケアや洗髪など日常生活の中で継続的に実践できる
・症状の再発時に適切な受診判断ができる

看護計画概要
O-P
・患部(頭皮、眉間、鼻翼周囲、耳介周辺、胸部など)の皮膚所見(発赤、落屑、痂皮、滲出液の有無)
・かゆみの訴えの頻度、時間帯、掻破行動の有無と部位
・洗顔・洗髪・整髪の習慣(使用製品、頻度、方法)と保清状況
・薬剤使用状況(塗布量、回数、自己判断での中止・変更)
・皮膚症状への心理的反応(羞恥感、不安、ストレス)
・既往歴(アトピー、脂漏性皮膚炎の再発歴、免疫抑制状態の有無)

T-P
・患部の清潔保持を1日1回以上確保し、皮膚刺激を最小限に抑えた洗浄を促す(洗顔料は低刺激性、ぬるま湯使用など)
・洗髪後は頭皮を乾燥させ、湿潤環境を回避するよう援助する
・ステロイド外用薬・抗真菌薬の塗布手技を確認し、必要に応じて再指導(適量・頻度・順序)
・患部の掻破予防として、冷罨法や短爪保持を提案し、夜間の無意識な搔破リスクには手袋使用も検討
・かゆみ・ストレス増強因子(睡眠不足、汗、整髪料など)を洗い出し、生活環境の調整を個別に支援
・掻破や外用薬中断による悪化兆候を早期に察知するための定期的スキンチェックを実施

E-P
・脂漏性湿疹の原因(皮脂・マラセチア・炎症)と慢性再発性である病態を図や例を用いて説明し、自己管理の必要性を理解させる
・スキンケア方法を具体的に指導(例:洗顔は朝晩2回、泡立てて擦らず洗う、洗髪は週◯回、保湿剤は入浴後◯分以内)
・整髪料・香料・アルコール入り化粧品など、皮膚刺激となる市販製品の選び方や回避方法を説明
・自己観察項目(赤みが広がる、かさぶたになる、かゆみが悪化するなど)を一覧化し、変化に気づけるよう支援
・外用薬を途中でやめたり、自己判断で変えたりしないよう継続使用の重要性と医師へ相談する必要性を指導
・再発した場合の適切な医療受診タイミング(症状悪化、1週間以上改善しないなど)を具体的に提示

根拠
O-P(観察・評価)の背景と根拠
・脂漏性湿疹は皮脂分泌が多い部位に慢性的に生じる皮膚炎であり、皮膚の観察により重症度や治療効果を把握することができる
・洗顔・洗髪の習慣や保清状況は皮膚状態の悪化要因になりうるため、日常生活におけるケア行動の把握が必要である
・使用薬剤やスキンケア用品が誤っていると悪化要因となることがあるため、確認が重要である

T-P(ケア・処置)の背景と根拠
・皮膚の清潔保持は皮脂とマラセチアの関与を抑制する基本ケアであり、悪化予防に有効である
・擦過刺激は炎症を悪化させるため、やさしいケア方法の指導と実践が必要である
・外用薬(ステロイド・抗真菌薬など)は炎症と真菌の増殖を抑えるため、医師の指示通りの使用が治癒促進に寄与する
・掻破行動による二次感染予防のため、かゆみへの対処と行動のコントロールが求められる

E-P(教育・指導)の背景と根拠
・脂漏性湿疹は慢性・再発性の疾患であり、患者が特性を理解することで継続的なケアへの動機づけにつながる
・洗浄や保湿の方法を誤ると症状悪化の原因となるため、正しいスキンケア指導が不可欠である
・生活習慣の中での刺激回避や早期対応は、再燃や重症化を防ぐ鍵となる
・自己観察力を高めることで、患者自身による症状管理と適切な医療利用が可能になる

関連外部リンク
日本皮膚科学会「脂漏性湿疹」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/Seborrheic_Dermatitis.pdf

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