酒さは顔面の慢性的な炎症性疾患で、紅斑や膿疱、血管拡張が特徴です。適切な看護介入は症状の悪化防止と患者の心理的負担軽減に不可欠です。本記事では酒さの症状理解から、具体的な看護計画とセルフケア支援を詳しく解説し、患者の皮膚状態改善と生活の質向上を目指します。
短期目標
・顔面の発赤やほてりを自覚的に説明できる
・悪化因子(紫外線、温熱、刺激物など)を理解し生活の中で回避できる
・処方された外用・内服薬を正しく使用できる
・症状による羞恥感や不安を言語化できる
長期目標
・症状を自己管理し、再燃時には早期対応ができる
・皮膚への刺激を最小限に抑えるスキンケアを継続できる
・酒さによる心理的ストレスへの対処法を身につけられる
・症状がコントロールされた状態で社会生活を送ることができる
O-P
・顔面(特に鼻・頬・額・顎)の紅斑、毛細血管拡張、丘疹・膿疱の有無と範囲
・日内や季節による発赤の増減、熱感・ほてりの有無
・洗顔・化粧・スキンケアの方法と使用製品の内容(アルコールや香料の有無など)
・紫外線・飲酒・辛味食品・入浴・気温変化などの悪化因子への曝露状況
・皮膚症状に対する心理的影響(外見の悩み、対人関係の不安など)
T-P
・洗顔・保湿ケアを観察し、刺激を抑えた方法(泡洗顔、タオルで拭かない、低刺激性保湿剤使用など)を直接指導
・紫外線対策として、日焼け止め(ノンケミカル処方など)の使用や外出時の帽子・マスク装着を助言し実行を確認
・悪化因子(飲酒、辛味、入浴後のほてりなど)を記録し、患者と共に回避策を検討
・医師の指示に基づいた薬剤(外用メトロニダゾール、ドキシサイクリンなど)の使用状況を確認し、塗布方法・継続状況の支援
・精神的苦痛が強い場合には、医療者への相談や精神科・心理士への連携を提案
E-P
・酒さの特徴(慢性炎症性・寛解と再発を繰り返す)や原因(血管拡張反応性亢進、皮膚バリア低下)を理解できるよう説明
・避けるべき刺激(アルコール、メントール、スクラブ、熱いお湯など)を具体的に列挙し、生活への落とし込みを支援
・症状が軽度でも継続的なケアが再燃予防に不可欠であることを説明し、習慣化を促す
・心理的影響について一人で抱え込まないよう伝え、相談しやすい環境を整える
・外用薬は改善後も継続指示があることを伝え、自己判断による中止を防止する
O-P(観察・評価)の背景と根拠
・酒さは顔面中央部を中心とした紅斑・毛細血管拡張・丘疹などが特徴であり、視診により病期や重症度を把握できる
・刺激による血管反応が顕著なため、日内・環境要因に応じた変化を観察し、トリガーの把握が予防に直結する
・スキンケア方法や使用製品により悪化するケースが多く、実際の生活行動との関連を明確にする評価が必要
・外見の変化による心理的苦痛はQOLを著しく低下させるため、精神面の観察も並行して行う
T-P(ケア・処置)の背景と根拠
・物理的刺激(擦過、熱、水道水の塩素など)が炎症を助長するため、優しい洗顔と保湿が基本ケアである
・紫外線や急激な温度変化は血管拡張を促進し、症状悪化を招くため、外的因子の遮断が必要である
・外用薬は抗炎症や血管収縮作用があり、正確な塗布と継続使用が症状コントロールに不可欠である
・悪化因子は個人差が大きいため、自己記録を通じた行動調整支援が有効である
・精神的苦痛は症状の感じ方や治療継続に影響するため、心理面のケアとの併用が望ましい
E-P(教育・指導)の背景と根拠
・酒さは慢性疾患であり、完治よりも寛解状態の維持が目標となるため、継続的なケア行動の意義を理解させる必要がある
・刺激物の情報を具体的に提供することで、患者自身が生活の中で回避策を立てやすくなる
・症状の再燃や薬剤中断による悪化を防ぐには、正しい疾患理解とモチベーションの維持が重要
・外見上の悩みは他者から見えにくいため、相談の機会と信頼関係をつくることが早期の心理的サポートにつながる
関連外部リンク
日本皮膚科学会「酒さ診療ガイドライン」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/Rosacea_GL2021.pdf
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